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教育・環境・福祉(32)

LV5「木を植えよ!」

宮本昭著/新潮選書/1100円

木を植えよ!
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名著「魂の森を行け」で半生と生き方とその活動を丹念に描かれた宮脇昭が書いた本である。

その破格な人生、そして切実なる森への想い、鎮守の森を守る活動など、実は「魂の森を行け」を読んだ方がよくわかる(感想はこちら)。まだ読んでない方はそちらを先に読んだ方がよい。で、「魂の森を行け」を読んだ人は100人が100人、宮脇昭自身の言葉に触れたくなるであろう。そういう意味ではTOO MUCHなほど触れられるこの本は貴重だし、欲望を心底満たしてくれる。

過激な題名を持つこの本は、哲学や提言というより実践的プロモーションな本である。
とにかく四の五の言わず木を植えよ。理由と背景はこれこれだ。木の選び方はこれこれだ。やり方はこれこれだ。「そんなこと自分では難しい」と思っている人にはこういう方法もある。とにかく植えよ。すぐ植えよ。と、畳みかけてくる。その畳みかけの激しさはちょっとウットリくるほどだ(文章が激しいというわけではない)。

「ヒトは『森の寄生者』の立場でしか、持続的には生きていけないのです。これは、人類が地球上で生き延びる限り永遠に続く冷徹な事実なのです」

……この言葉に少しでも引っかかる人は必読だ。

2007年2月 8日(木) 19:24:12・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界 , 教育・環境・福祉 , 実用・ホビー , 評論

LV5「魂の森を行け」

一志治夫著/新潮文庫/438円

魂の森を行け―3000万本の木を植えた男
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副題は「3000万本の木を植えた男」。森を作るために植樹を続ける超人・宮脇昭の人生と主張を丹念に描いた傑作である。必読。

どこかの雑誌で「人類は植物に寄生する動物にすぎない」という主張を読んだのがボクにとっての宮脇昭との出会いである。目ウロコだった。確かに人類は植物(もしくは森)を最大限利用して発展してきた。守られもしてきた。なのに植物や森を上から見て蔑んでいる。守ってやる、という不遜な態度すらとっている。このスタンス自体が大きく違っていたのである。寄生する立場なのだ。

その後、数々の植樹活動も知り、急いでこの本を買った。そしてその考え方と実行力に感動したのである。宮脇昭自身、単なる活動家でなく、日本を代表する植物生態学者なのだが、彼の「宮脇方式」による森の増やし方のなんと理にかなっていることか。その土地のもともとの植生に沿った森作り。だから最初の3年ほど手入れしてやればあとは永遠にメンテナンスフリーなのである。日本だけでなく中国やアマゾン、アフリカでも宮脇方式が広まっている。日本では「鎮守の森」にその土地の植生がそのまま残っている。ものすごい勢いで減りつつある鎮守の森を再び増やす活動も彼の目標のひとつである。

信念と行動と狂気の人・宮脇昭の破格な人生をなぞるだけでも刺激になる一冊だが、その発言、実行、そして成果を知るためにも是非読むべき本である。読後、「人間が森と共生することで、結果として地球環境が守られるのだ」というシンプルな構図が見えてくるだろう。木を植える。森を作る(宮脇方式だと5メートル幅あれば森が出来る)。そういったゴールがクリアに見えてくるノンフィクション。

なお、宮脇昭自身「木を植えよ!」という本を書いているが、それよりも先にこの評伝を読んだ方がわかりやすいと思う。

2007年1月30日(火) 12:42:51・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝 , 教育・環境・福祉 , ノンフィクション

LV4「新・勉強の常識」

ストロング宮迫&タイガー山中著/PHP研究所/1365円

新・勉強の常識―成績がイイ子の親だけが知っている!
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副題が「成績がイイ子の親だけが知っている!」で、帯は「親は絶対に勉強を教えてはいけない!」。受験生を持つ親は必読な本である。

うちも中学受験を一年後に控え、毎晩のように妻と娘の勉強バトルが繰り広げられているわけだが(ボクは仲裁役)、その妻がさっそく読んで感動していた。「わたし、いけないことばかりしていた」と反省しきり。すごく役に立ったようである。あれ以来バトルが激減した(笑)。これだけでも著者の方々に感謝しなければならない。

で、遅ればせながら、ボクもじっくり読んでみた。
なるほど、つまりどう子供を乗せちゃうか、ということですね。あとは親の勘違いの是正。親は中途半端に自分の体験を子供にかぶせるからなぁ。しかも視野狭く。
というか、勉強って本来楽しいもののはず、という当たり前のことを思い出させてもらった気がする。大人になると勉強ってそれなりに楽しいんだけど、子供のときはなぜあんなに辛かったのか。その答えが書いてある。な〜んだ、楽しく出来そうじゃん。そういう親の意識改革にとても役立つ本である。

2006年1月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉

LV5「13歳のハローワーク」

村上龍著/はまのゆか絵/幻冬舎/2600円

13歳のハローワーク
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この本を読むといままで子供たちに「自分のやりたいことを見つけなさい」とか言ってきたのがいかに無責任かわかるであろう。
これは村上龍が彼独自の「教育とは有利性の獲得」という持論に基づき、13歳前後の子供たちがこれから職業を選択していくための指針を具体的に示した職業百科である。全部で513の職業が収められており、子供たちがいま「好きでたまらないこと」の延長にどんな職業があるのか、それになるためにはどういう勉強・訓練が必要なのかが的確に示されている。いわば、人生の513択。

たとえばこの本は、いま子供が「おしゃれが好き」ということなら将来的にこんな職業がある、と提示する。
ファッションデザイナー、ジュエリーデザイナー、ファッションモデル、靴デザイナー、バッグデザイナー、帽子デザイナー、テキスタイルデザイナー、ソーイングスタッフ、テーラー、和裁士、リフォーマー、アパレルメーカーで働く、スタイリスト、フォーマルスペシャリスト、着物コンサルタント、着付師、美容師、理容師、調香師、メイクアップアーティスト、ネイルアーティスト、エステティシャン。

そしてそれぞれの職業の内容、功罪、なるための方法などをわかりやすく書いている。
ボクたちが13歳のころこんなに将来を具体的に意識しただろうか。すばらしいなぁ。もちろんすべて村上龍が書いたわけではないだろう。著というよりは編著に近い。

いい学校を出ていい会社に入るという生き方が必ずしもいい人生と限らないのは、ほとんどのサラリーマンが実感していることだ。
ボクを含めたサラリーマンたちは「何になるか」ではなく「どの会社に入るか」で人生を考えてしまった。このライフモデルは幸せになれるわけではないという点でとっくの昔に崩壊している。なのに新しい指針を子供たちに示せずにいるボクたち。村上龍はそこに具体的な職業紹介で応じた。さすがである。このコンセプトは切れ味がある。目指す職業を決めて一刻も早く社会に出て、アドバンテージを獲得しサバイバルせよ、という明確な指針。これがいまの大人たちに一番欠けているものかもしれない。

というか、ボクたちが13歳のころにこの本があったら…と強く思う。ボクたちはどんな生き方がこの世にあるか、具体的に知らずに大学生になり、大学3年のころにはもうつぶしがきかなくなっていた。そういう漠然とした生き方ではこれからは生き残れないだろう。

要所で入る、著者のエッセイもかなりシャープ。とてもよい。
特に最後にまとめてある「いろいろな働き方の選択」という項など、ほとんど人生論である。前書きで彼は「わたしは1日に12時間原稿を書いて、それを何ヶ月も、何年も続けても平気です」とある。そういう職業を見つけるために、この本をいま読もう。子供を持つ親だけでなく、すべての大人に勧める。人生100年時代。40歳とかだって13歳みたいなものなのだ。

2004年1月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉 , 児童・ティーンズ

LV5「環境危機をあおってはいけない〜地球環境のホントの実態」

ビョルン・ロンボルグ著/山形浩生訳/文藝春秋/4500円

環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態
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出る前からわりと鳴り物入りではあったが、出てすぐ読んでみて「おお!」と感嘆。4500円(たかっ!)払う価値があった。
というか、6月に「ダイオキシン〜神話の終焉」を読んで以来、情報が一方的な論説をまず疑ってかかるように癖をつけてはいるのだが、まさか環境問題までがこうもスキャンダラスな操作にさらされていたとは知らなかった。あーあ。世の中、結局自分で調べないと真実などわからないのね。いまから統計学者でも目指すかなー。

とにかく、いたずらな環境危機論を千蹴してあまりある。ブッシュやブレアが根拠の薄いデータに頼って都合のいい論&戦争を展開したように、環境問題系論者もかな〜りご都合のいいデータの使い方をしていることが一目瞭然。ちょっと驚きである。というか、ここ数年の常識(熱帯雨林激的減少とか地球温暖化とか飢餓増大とか石油枯渇とか)はほとんど「ウソ」なのだ。驚くよね?

もちろん情報ソース(各種有名団体発表の統計)を読み込むチカラはボクにはない。だから正確にどちらが正しいと言及はできない。
とはいえ、まったく同じソースから、環境問題系論者と著者が導き出した結論がここまで違ってくることにはただただ驚くばかり。統計の怖さについてはいろんな本を読んだが、環境問題よお前もか!と思わず叫ばされる。うーむ。

もちろん、環境の危機が最大限叫ばれたからこそ、ここまで人民の意識が高まったのは確か。その役割は偉大だったが、いつまでもあおっているとそこにまた違う歪みが生じるだろう。賛否両論あるのかもしれないが、必読の問題作である。

2003年8月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉

LV5「あなた自身の社会〜スウェーデンの中学教科書」

アーネ・リンドクウィスト、ヤン・ウェステル著/川上邦夫訳/新評論/2200円

あなた自身の社会―スウェーデンの中学教科書
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副題通り、スウェーデンの中学教科書である。
スウェーデンの社会の教科書の題名が「あなた自身の社会」。そう、スウェーデンの中学の社会の教科書をそのまま訳しただけのものなのだ。なのに感動できる。日本の社会や教育の問題点が浮き彫りになる。それほど良くできている。心底焦燥する。やばいよ日本。なんとかしなくちゃ。

この題名がすべてを語っている。誰の社会でもなく、あなた自身の社会にあなた自身が積極的にどうコミットするべきか、が具体的に書かれているのだ。
そのために何一つ隠すことなくありのままのスウェーデン社会が中学生のための教科書に提示されている。いろんな立場といろんな意見があることもそれぞれ提示されている。そして中学生に自分自身の意見を持たせることを主に考えられている。この社会はキミたちこそが変えていくんだよと教えている。他人事のように客観的に社会のありようを教える日本の教科書と比べるとそのコミット感・当事者感に呆然とするほどである。いやー、社会に参加する意識やヒトというものの捉え方が根本から違うわ。

詰め込み式でなく、とにかく考えさせることが主目的においているのが素晴らしい。社会は学ぶモノではなく考えてコミットしていくモノなのだ。当たり前といえば当たり前。でも彼我の差は大きい。この差はいつか埋まるのかな。埋まらない気がするな。悲観的かもしれないけど。そんな印象。

2003年7月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉

LV4「ダイオキシン〜神話の終焉」

渡辺正+林俊郎著/日本評論社/1600円

ダイオキシン―神話の終焉
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ダイオキシンよ、お前もか! という感じである。
乱暴にひと言でまとめるなら「ダイオキシンって危険は危険だけど騒ぐほどじゃないよ。海外の研究者はもうほとんど誰も取り上げてないよ。ダイオキシン法なんて亡国法だよ。ゴミ焼却だってよくよく調べてみれば問題がすり替えられているよ。ダイオキシンはマスメディアが作り上げた恐怖なんだよ」である。驚くでしょ? 無批判にダイオキシンを怖がっていたボクらも悪いが、それにしてもダイオキシンだけは本当の悪者だと思っていたよ(笑)

わかりやすい例を上げれば、ダイオキシンは30万日分の含有食物を一気に食べない限り致死量には至らないらしい。
30万日分ってつまり820年分だ。それだけ分の食事をしてようやく致死量(60万pg/kg)に達するのだ。つまり「ダイオキシンでは死ねない」わけ。それに比べてアルコールはワイン4本分、コーヒーは1日50杯でほぼ致死量らしい。ダイオキシンの一般摂取量を抜きにして「ダイオキシンの毒性はサリンの2倍」と騒いでも意味がない。また、一度に大量のダイオキシンを摂取する事故についても騒ぐほどではないことは本書を読めばよくわかる。死に至るもっと大きな毒害は他にやまほどあるのである。

というか、ダイオキシンの恐怖をここまで取り上げているのは日本だけらしい。
ううむ。これから環境問題は眉に唾つけてかからないといけないかも。たとえば2002年、オゾンホールは過去14年間で一番小さくなったらしい。そんなこと誰も知らず、みんなでひたすら怖がっている。環境問題告発本をもう少し読んでみよう。

2003年6月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉

LV5「読み聞かせる戦争」

日本ペンクラブ編・加賀美幸子選/光文社/1800円

読み聞かせる戦争
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戦争の悲惨さ無意味さを伝える数多くの文献・小説・日記・詩などの中から、特に印象的で読み聞かせるに効果的(?)なものを27篇選んで収録したもの。
題名からわかるように子どもたちに読んで聞かせる形式になっているため、少々説明的なものもあるし、ちょっと教科書的ラインナップでもあるのだが、目を背けたくなる戦争の現実を子どもに実感をもって伝えられるいい本に仕上がっていると思う。

収録されているのは「ヒロシマの空」「きけわだつみの声」「レイテ戦記」「私のひめゆり戦記」「今夜、死ぬ」「夏の花」など。特に「ヒロシマの空」は涙なしでは読めない。これを子どもに読み聞かせるだけでも買う価値があるかもしれない。戦争体験者がどんどん少なくなっていっている今、こういう正面切った企画が出版されるのはとてもいいことだと思う。必要以上に教訓的にならず、子どもに淡々と伝えていきたい。

加賀美幸子が朗読した付属CDにはその中から9篇が収録されているが、映像世代である今の子どもに本当に伝えようと志すなら、映像付きDVDの方が良かったかもしれない。それと、加賀美幸子の朗読はちょっと情緒的すぎる気がする。もう少し淡々としている方が好み。

2002年11月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 , 教育・環境・福祉 , 児童・ティーンズ

LV1「理想の国語教科書」

齋藤孝著/文藝春秋/1238円

理想の国語教科書
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昔、国語の教科書を読むのが大好きだったボクは、4月にはその年に習う文章をすべて読んでしまって、残りの11ヶ月を限りない欲求不満とともに過ごした記憶がある。
そんなボクにとって、「声に出して読みたい日本語」を大ベストセラーにした著者が選んだ、教科書に取り上げたい名文の集大成であるこの本は実に興味深いものである。期待して読んだ。全編ふりがな付きであり、一学期、二学期と章分けもしてあり、小学生にも読ませられる構成になっている。丁寧な編集だ。

ま、名文を読む作業は楽しかった。
でもこれらが本当に最高レベルの日本語なのかは非常に疑問が残る。かなり一般的すぎる選択だ。もちろん教科書であるから名文を読ませつつ文豪などの存在を教えたり子どもの倫理観などに影響を及ぼす名作を選ぶ必要はあるが、新たに世にプレゼンするのだから独自の視点で「これぞ名文」を発掘して提出してほしかった。
また、イマの作家を正面切って取り上げる必要はないのか。明治の作家中心で本当にいいのか。最高レベルの日本語はそこにしかないのか。そして「野口シカ」の手紙はそこに入るのか(感動的ではあるが教科書としてどうなのか)。などなど、疑問はいろいろ残る。作品の選び方がとってもありきたりだと思うのだ。残念。また、著者による解説がつまらないこともちょっと不満。

2002年7月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉 , 児童・ティーンズ

LV3「たのしい不便」

福岡賢正著/南方新社/1800円

たのしい不便―大量消費社会を超える
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副題は「大量消費社会を超える」。
毎日新聞西部版での人気連載を一冊にしたものらしい。簡単に言うと「不便を実践してみた」という連載だ。具体的には「電車や車を使わず自転車で通勤する」「自動販売機で物を買わない」「外食をしない(弁当を自分で作る)」「エレベーターを使わない」「野菜や米は自給自足する」などなど。んでもって、そこに見えてきた生活の楽しさ・充実さを語っている。

・・・と紹介すると、ストイックな「べき論」的本かと思われがちだが、そうではない。
著者は連載の早い時点で「楽しめなければ長続きしない」と気づき、ストイックさから離れていく。そこらへんの等身大な感じがいい方に働き、とても良い本になった。後半は「消費社会を超えて」と題し、野田知佑を初めとしたナチュラリスト系(と一括りにするのは大変失礼な面子だが)との対談。いろんな考え方に触れられ、タメになるし、視野が広がる。

この本で展開している論を一言で言うと「現実感とは何か」ということかもしれない。現実感が日々なくなっていっているこの日本で、いかにして現実感を持って生きるか。言葉が固く見出しも固く新聞記者ぽくなりすぎている文章が難と言えば難だが、身の回りの現実感を再度見直し発見してみたくなる良書である。

2002年3月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ , 時事・政治・国際 , 教育・環境・福祉

LV1「いやでも楽しめる算数」

清水義範著/西原理恵子絵/講談社/1600円

いやでも楽しめる算数
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このふたりが組んで5冊目、かな? 理科エッセイ2冊、社会科エッセイ2冊と来て、ついに算数エッセイである。

先生役の清水とサル役の西原が非常にうまく絡み合うこのシリーズをボクはたぶん2冊読んだことあるが、この「算数篇」はちょっと中途半端な印象を持った。ある意味このシリーズで一番熱心に説明はなされているものの、算数に関するおもしろ本は世界的に数多くあり、レベルも高く、しかもそれらをわりとボクは読んでいるので、比較しちゃうとどうにも辛い。清水がとうとうと述べている面白い算数の命題とかも、他の本で読んだものがほとんどだった。うぅ、こりゃアンフェアかも。そういうのに触れたことのない人が読んだらもっともっと面白いのかもしれない。

西原は今回、別の勝負をしている感もあり、ほぼ算数に関しては清水の独壇場。
ボクはもともと算数大嫌い派なのでイイタイコトとかよくわかるのだが、「算数を嫌っている人にも楽しく読めるように書くからね、ゴメンね」という引き気味のスタンスが表面に出過ぎて、小さくまとまってしまった感があるのがやっぱり惜しいな。そんなの無視して「算数ってこんなに楽しいの!」と自信たっぷり書いてくれれば良かったのに。そこに西原が暴力的にツッコんできた方がよっぽど面白かったと思うのに。

2001年12月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉 , 科学 , 漫画

LV5「世界でいちばん受けたい授業」

藤原和博著/小学館/1600円

世界でいちばん受けたい授業―足立十一中『よのなか』科
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副題に「足立十一中[よのなか]科」とある。足立区の中学校で行われた「よのなか」科の授業がこの本の中で細部に渡るまで再現されているのだ。
よのなか科といっても、旧来の教育の枠の中で「よのなかの知識」を教えているわけではない。身近な題材と工夫されたカリキュラムと一般社会人の協力を得て、21世紀を生き抜くために必要な5つのチカラ、「ロジック」「コミュニケーション」「シミュレーション」「ロールプレイング」そして「プレゼンテーション」、を身につけさせることを目的とした授業なのである。

最初の授業が特に面白い。「一個のハンバーガーから世界が見える」と題して、生徒それぞれマクドナルドの店長になって出店計画を考えるというロールプレイング。地域性を考え、集客とは何かを理解し、経済の本質を肌で感じながら出店場所をそれぞれが導き出していく。そして、実際に貿易ロールプレイングゲームをしてみることで為替を肌で理解させていく授業がそれに続く。ハンバーガーが一個65円になっていく仕組みが世界経済の中でわかりやすく解きほぐされていくのだ。そして最後には実際にマクドナルドの店長を招いての質疑応答まで…。ね、面白そうでしょ?

まだまだ教育も工夫する余地がいっぱいある、と感じさせられる名授業。生産性を上げる創意工夫には朝も夜もなくがんばる我々だが、教育はなんとなく国の方針に任せきりにしてきた。その受け身な態度を反省させられると同時に、こういう風にすればいいのか、なんとかまだ間に合うのではないか、とも思わせられる希望の書でもある。

2001年12月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉

LV4「16歳のセアラが挑んだ世界最強の暗号」

セアラ・フラナリー/デイヴィッド・フラナリー著/亀井よし子訳/NHK出版/1900円

16歳のセアラが挑んだ世界最強の暗号
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EU青年科学者大賞を暗号の研究でとった16歳のレディの顛末記というか自伝というか(数学的説明の一部は父親と一緒に書いたようであるが)。
彼女が純粋なる数学的興味のもとに開発してしまった暗号は世界最強の暗号と言われているものを凌ぐ可能性すらあり、暗号専門家の度肝を抜いた。数学との出会いから、その暗号を提出課題にし研究するまで、達意の文章でやわらかく読者を導いていってくれる。文章はとても良い。

特に数学との出会いの辺りは素晴らしい出来。例に上げられているクイズも興味深く、知的興奮に満ちている。ただ「mod」に言及する辺りからかなーり難しくなってくるので、数学音痴としては辛かった。でもそこらの章は読み飛ばしてもなんら大筋に影響ないので、音痴さんでも大丈夫。

原題は「In Code : A Mathematical Journey」。
邦題、オーバー過ぎないか? なんというか邦題イメージほど「挑んだ系ド根性の物語」ではなく、ずっとスマートな物語なので、読者は(邦題のせいで)少し肩透かしを食わせられるところがあるかもしれない。もっとなにげなく成功しちゃうのだ。しかも成功かどうかもまだ判断保留だったりするのだ。

行間から感じられるアイルランドののびのびした教育環境がかなりうらやましい。移行年やアルバイト制度など学ぶべき点はいっぱいある気がした。

2001年11月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝 , 科学 , 教育・環境・福祉

LV1「『教育の崩壊』という嘘」

村上龍著/NHK出版/1300円

「教育の崩壊」という嘘
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「希望の国のエクソダス」以来、教育についての発言が目立つ(というか、せざるを得なくなった)著者の対談集。
刺激的な題名ではあるが、内容的にはちょっと迎合的。特に活発な論戦があるわけではない。特に「学校崩壊」という著書を持つ河上亮一との対談は題名からして熾烈なものを予想したが、少し肩すかしであった。

著者の主張は(彼の教育関係本には一応目を通すことにしている)ボクにとっては目新しくないものであった。
が、次々パワフルに対談したり調査したりを続けることによって、彼の主張はより深くなっていることは実感する。もしくはより村上龍的になっている。さてこうなってくると行き着く先は「著者自身がこの国の希望をアナウンスすること」であろう。すべての主張はそこにたどり着いてしまう気がする。そして彼はそれを考え始めているような気がこの本を読んで、した。

なお、巻末の「中学生1600人アンケート」はかなり面白いが、谷岡一郎著「『社会調査』のウソ」を読んでリサーチ・リテラシーを少し鍛えてからこれを読むと、これもどうかなぁと思う。
まずアンケートを取った普通校に進学校やフリースクールをまぜる比率を全国的比率に合わせるべきである(数的に)。次に「アンケートを返してくる生徒は、その時点で問題意識がある生徒」であること。アンケートすら返す気力、積極性がない生徒こそ「崩壊の原点」なのではないのか。三つ目に、ピックアップしている回答が「村上龍の主張に都合のいいものに偏っている」はずであること。せめて回答例の全体分布を載せた上でピックアップするべき。

このままこれが「中学生全体の意見」とされてしまうと害悪このうえない。「このアンケートを読んでこの題名を考えついた」と著者は言うが…その程度で教育の崩壊を「嘘」と断言するのはいかがなものだろう。

2001年4月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 , 教育・環境・福祉

LV2「サーフィン型学校が子どもを救う!」

永山彦三郎著/平凡社新書/660円

サーフィン型学校が子どもを救う!―「やり直し可能」な教育システムへ
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サーフィン型学校ってなにかっていうと、要はいままでの学校を「野球型」と捉えて、集団主義的かつ管理的かつ監督が権力をもっている的組織と考える。それに対し「サーフィン型」というのは、サーフィンというスポーツに代表されるような、at your own risk的かつ競争がない感じ的かつ身の程を知らないと痛い目にあう的かつ失敗は何度してもいい個人競技的なもの的に、学校を考えなおしてみよう、ということ。

目新しい言葉ではあるが、それなりに言い得ている。ただ惜しいのはサーフィンというスポーツに対する共通体験が国民にないので、まずサーフィンについてよーく説明しないとなかなか通じにくいのだ。

また、そこに至る論の展開がちょっと散漫で「単なるエッセイ」になっているのも惜しい。
まず野球型学校に噴出している問題点と将来性のなさを整然とわかりやすく並べて読者を絶望させ、そこからサーフィン型に変わることでいかに物事が変わっていくかをなるべく具体的に説き、そのうえで今の子どもたちに対する著者の想いを述べる、みたいな構造的わかりやすさが欲しい気がした。著者の想いは溢れるばかりに伝わってくるが、読み終わって散漫な印象に終わっているのが惜しいのである。残念。

2001年4月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉

LV3「豆炭とパソコン」

糸井重里著/世界文化社/1470円

豆炭とパソコン―80代からのインターネット入門
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「ほぼ日刊イトイ新聞」での人気コンテンツの単行本化。副題が「80代からのインターネット入門」。

著者の80歳の実母が初めてパソコンに触りネットにつながるまでの顛末である。
インターネットについての著者の平明かつ鋭い分析はもちろん面白いが、なによりもイキイキ生きているミーチャン(実母)とその先生役の南波あっこさんの息づかいがたまらなく良い。そういう良さを前面に出すために題名も「豆炭とパソコン」にしたのだろう(「ほぼ日」連載時はいまの副題が題名だった)。豆炭もパソコンも、それ自体が大切なのではない。大切なのは豆炭やパソコンがある生活を楽しんでいるミーチャンなのだ。その主客転倒がいまのIT革命の最大の問題。そういうことが声高でなく生活レベルで伝わってくるところがこの本のいいところなのである(そういう意味では著者による前書き後書きは蛇足かも)。

残念なのは「つながった」ところで終わってしまう点。つながった先の生活をもうちょっとでいいから読みたい。消化不良。とはいえまぁそれは現在の「ほぼ日」で読めるからいいか。むぅ。先を読みたい方はミーチャンみたいにネットにつなぐトライをしてみてね、という深謀遠慮なのかもしれない。

2000年12月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:IT・ネット , 教育・環境・福祉

LV3「パソコンが奪った漢字を取り戻せ!」

守誠著/サンリオ/1000円

パソコンが奪った漢字を取り戻せ!―漢字練習ノート
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企画の勝利。つうか、待ってたな、こういう本。副題は「漢字練習ノート」。そのまんま。つまりパソコンユーザーが忘れてしまいがちな漢字をセレクトして、書きこんで練習もできる形態にしあげている。うん。いいいい。他にもあるのかもしれないけど、ボクは初めて出会った。

とにかく、会社でも家でもキーボード中心になってしまったボク。だって文字書くのの数倍早いんだもの。だからたまに文字を書くと、その「漢字を忘れている度合いの激しさ」に愕然とするのである。漢字は得意中の得意だったのに、いまや読めるけど書けない漢字がいかに多いことか! パソコンは確実に漢字力を奪うのである。

この本の優れているところは、ただの漢字練習帳ではなくて、「パソコンの画面から正しいものを選びだす漢字力」とか「ちょっと考えてしまう小学生漢字」とか「よく間違えるオフィスの中で使う漢字」とかいう、その切り口の素晴らしさと、選んである漢字の程の良さ、だろう。ほんの数時間、この本に向かうだけで、急に自信が取り戻せる。いざという時恥を書かないためにあなたもこの本を漢字練習で汚してみない?

2000年9月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉 , 雑学・その他

LV5「南へ」

野田知佑著/文春文庫/600円

南へ
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1992年から1995年まで「本の雑誌」に連載した文章の文庫版。
「新・放浪記2」と副題にある。最初の「放浪記」は単行本で読んだ記憶があるが、「新」は読んでなかったと思うので、「新・放浪記1」は読み損なっている気がする。まぁいいや。特に筋がある本ではないし。

野田知佑はやっぱり半年に一回は読まないといけない作家のひとりであるなぁ、というのが読後感。
こういう暮らしの記録を継続的に読まないと、東京というシステムがいかに異常なものか、都会というものがいかに狂乱なものか、生きていく目的とはなんなのか、自分のためだけに気持ちいいことをなにかしているか、などという根本的なものを忘れてしまう情けなさなのだ。
あ、日本の河川問題についても。河川問題についてはボクはなにもしていないに等しい。読んで理解しているだけならバカでもできる。激しく共感しているのだからなにかすればいいのだ。現地に出かけて活動するのはとても無理だから、なにかボクの立場で協力できることを探していきたい。
・・・などと、ちょっと精神が思わぬ方向に開かれる。そんな効き目が彼の本にはあるのである。

2000年8月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル: , エッセイ , 教育・環境・福祉

LV3「どこまで続くヌカルミぞ」

俵孝太郎著/文春新書/690円

どこまで続くヌカルミぞ―老老介護奮戦記
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副題は「老老介護奮戦記」。

キャスターである著者の老老介護の毎日がこれぞ赤裸々とばかりに書かれているのだ。儒教以来の親孝行精神を受け継ぐ人が読んだら卒倒するような、親に対しての厳しい言葉の数々。ただ、子供からの一方的な視点から書かれているとはいえ、ドラ息子ならぬ「ドラ親」を持つ苦労は読むに従ってどんどん身につまされていく。また兄弟との確執もすごい。なんというか、まぁでもよくここまで書いたなぁ。

人間は年をとるに従って人格が完成されていくのではなくて、単に若いときの性格が煮詰まるだけなのだな、と妙に納得させられる。これから日本人がいままで経験したことがない介護社会が出現するが、ここに書かれているような問題が各家庭個別毎に違ったカタチを持って起こってくるのだ。おっそろしいことだ。これでは備えるのは無理である。在宅介護制度自体をやはり見直す時がそのうち来よう。

それはともかく、一人っ子で良かったと実感をもって感じてしまった。兄弟の存在が問題を余計にやっかいにしていく様は目を覆うばかり。

2000年1月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉 , ノンフィクション

LV2「買ってはいけない」

週刊金曜日5月21日号増刊/1000円

買ってはいけない
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いまや大ベストセラーですね。
企業が出している商品について添加物やら製品上の問題やらを暴き「おすすめできない」と断じた「週刊金曜日」人気のシリーズを一つにまとめたもの。広告を取っていない雑誌だからこそ出来たシリーズで(スポンサーから圧力がかからないから)、こういう草の根アンチテーゼ的情報はいままでメジャーになったことがないからそういう意味ではとてもいいことではないかと思う。こういう情報が一方で拮抗してこそ、民主主義国家なのだ。

が、そういう意味で、こういう本こそ無批判に読んでしまいやすいから注意が必要だ。アンチテーゼ的なものは耳に心地良いのだ。大企業が出している商品が「必ずしも正しくない」ことと同様に、この本が言っていることも「必ずしも正しくない」だろう。それを自覚した上で客観的に「こういう見方もあるのか」と冷静に読むべき本である。

この本の大きな主題は「疑え!」ということだと思う。ヒット商品を疑え。みんなが使ってるからって信用するな。CMも疑え。自分で自分の身を守る知識を持て。自覚を持て。…つまりは、この本の内容も「疑え!」なのだ。この本の主題を理解するならそういうことだ。我々はこうして成熟した消費者になっていくべき。「At Your Own Risk」こそ、消費の原点である(民主主義の原点でもある)。

1999年8月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:雑学・その他 , 実用・ホビー , 健康 , 教育・環境・福祉

LV5「おじいちゃん 戦争のことを教えて」

中條高徳著/致知出版社/1400円

おじいちゃん戦争のことを教えて―孫娘からの質問状
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全日本国民は刮目して読むべし! などと書くと右翼っぽいか。えーと、もしあなたがボクの言うことを少しでも信頼してくださっているのなら、絶対読んでください。っていうか、読め! 必読! 日本に少しでも愛があるなら、読め! いや、愛がない人こそ、読め!

正式題名は「〔孫娘からの質問状〕おじいちゃん 戦争のことを教えて」である。ある日、アメリカに住んでいる孫娘から著者のもとに手紙が届く。ハイスクールの歴史の授業課題で「身近な戦争体験者に話を聞く」というのが出て、おじいちゃんが経験した戦争についての細かい質問状が届くのである。これに著者は姿勢を正して真摯に丁寧にわかりやすく答えていく。戦争当時の日本人の考え方、空気、状況が実に細やかに著者の人生を通して書かれていくのだ。

で、これがまたまるで説教臭くなく、押しつけがましくもなく、実に達意の文章で書いてあるのである。著者の目を通して、もやもやしていた近代史が実にクリアに見通せるようになる。まぁ確かにこれは著者という戦争体験者の個人的意見ではあるのだが、ボクはこの意見を、歴史の捉え方を支持する。というか、いままでずっと疑問に思ってきたことがこの本でかなりクリアになったのだ。

自虐史観に陥っている日本人に、いまこそ読んでほしい達意の名著である。少なくとも、戦争とは何か、を考える始点にはなるだろう。

1999年5月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 , 教育・環境・福祉 , ノンフィクション , 児童・ティーンズ

LV0「マサチューセッツ工科大学」

フレッド・ハプグッド著/鶴岡雄二訳/新潮文庫/552円

マサチューセッツ工科大学
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世に名高いMIT。
明治維新前にボストンでたった15人の生徒で発足していつしか世界の頂点に立ったこの専門学校をオタク生徒たちのエピソードや内部レポートでつづっていった本なのだが、つまらなかった。
エピソードにしてもファインマン先生ほどのものは望まないものの、もうちょっといろいろ読みたいし、内部レポートみたいなものも散漫で一向にMITの姿が浮かび上がってこない。中途半端な本だ。スコット・トゥローの「ハーバード・ロー・スクール」や「ファインマン・シリーズ」みたいなものを期待すると痛い目にあうかも。

1999年1月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ノンフィクション , 教育・環境・福祉

LV0「ゴミと化学物質」

酒井伸一著/岩波新書/660円

ゴミと化学物質
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1カ月もの間、睡眠薬代わりに重宝した。
ダイオキシンやら環境ホルモンやらシュレッダーダストやら、こちらとしては「知る気マンマン」な内容なのだが(だから買ったのだが)、まったくアタマに入ってこない。こういう学術書をコンパクトにまとめたようなものを「普及版としての新書」に入れる意味がどこにあるのであろうか。もっとイイタイコトを整理してわかりやすく語れる著者に同じテーマで書かせるべきである。ボクがおバカなせいもあろうが、あまりに総花的、あまりに専門用語の羅列すぎ。な~んにもしらない読者にわかりやすく伝えるのが著者の役目だと思う。というか、著者は悪くなくて編集者が悪いのかもしれない。
やっと読み終えた今でもアタマの中はまったく整理されていない。結局、環境ホルモンってどういう風に残留するんだっけ?

1998年9月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉

LV2「最終講義」

実業之日本社/4300円

最終講義
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「実業之日本社 創業百周年記念出版」だそうで、箱入りの立派な本である。
しかも545ページと分厚い。題名通りいろんな分野の有名な教授たち17人の「最終講義」を収録している。ほとんどが録音したものを書き起こしていると思われる。

最終講義はその教授のすべてが表出するもの、と期待し、ゆっくり紐解こうと思っていたが、読み始めたらあっという間だった。
いや、面白くて、というより、専門用語が多すぎて飛ばし読みばかりだったのだ。そう、最終講義とはいえ「講義」だから、例えば沖中教授の講義は内科臨床について詳しく言及したものだし、渡辺一夫教授はラブレーについて滔々と講義する。それを読んで授業を受けてきたわけでもないボクが面白いわけがない。ただ、矢内原教授の講義のように非常に感動的なものもあるから侮れないのだが、なんというか企画としては少々肩透かしを食った、という感じである。

1998年9月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉

LV2「お受験」

片山かおる著/文藝春秋/1333円

お受験
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前から興味があった世界だが、娘が幼稚園に入園したのを機に「そろそろどんな世界なのか読んでおくか」と、読んだ。

お受験とは幼稚園・小学校受験を主に言う。娘にさせる気はないが、これを読んでもっとさせる気をなくした。まったくもって異様な世界である。ただ、親の見栄だけと言いきれない事情も読んでいるうちにわかってきて身につまされるのも確か。まぁとりあえずうちは「出遅れた」ということだけはよくわかったなぁ。いいんだけど。

ええと、本としてはなかなか良く出来ている。お受験失敗組の著者がいろんなお受験成功者にインタビューしてまとめているもので、いまの日本のプチブルの現状がよく見えてくる。

1998年5月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉

LV1「住宅道楽」

石山修武著/講談社選書メチエ/1456円

住宅道楽―自分の家は自分で建てる
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副題「自分の家は自分で建てる」。

異端の建築家である著者の住宅論であり経験談であり日本の住宅事情への提言でもある。
おもしろいエピソードが続き、なかなかインパクトがある内容なのだが、いかんせん建築業界ドシロウトの僕が読むとわからない専門用語や固有名詞が中盤から出てくるのが残念。せっかくなら「シロウトにも開かれた文章」を書いて欲しかったのである。著者の言葉ぽく言うなら「建築業界の不自由さから文章が自由になっていないんだよう」というところか。惜しい。

1997年10月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉 , アート・舞台

LV4「父・丹羽文雄 介護の日々」

本田桂子著/中央公論社/1200円

父・丹羽文雄 介護の日々
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作家・丹羽文雄の実の娘が、アルツハイマーに冒された父親と「まだらボケ」の母親を介護する様を、驚嘆するほど冷静かつ平明に描いたノンフィクション。

その客観的な筆致は淀みなく、見事に両親を浮き彫りにしている。ここまで肉親を赤裸々に書けるものか、と感心してしまうほどだ。こういう題材を暗く悲しく書くのは誰でも出来る。さすが文豪の娘、というべきか、どうだ、この明るく平明な描写は!

実はボクの祖父母もかなり痴呆が進んでいたので(去年死亡)、他人事でなく熟読した。ボクが当事者だったらここまで書けるかどうか…。

1997年9月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ノンフィクション , 健康 , 教育・環境・福祉

LV3「ホスピス通信」

山崎章郎監修・桜町病院聖ヨハネホスピス編/講談社/1700円

ホスピス通信―生の終わりに小さな「もてなし」
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ホスピスってご存じですか? この3~4カ月で3人も祖父母を亡くしてしまったボクにとってホスピスは急に身近な存在になった。ホスピスとはなんなのか、終末(ターミナル)ケアとはどういうことなのか…。

「病院で死ぬこと」というベストセラーを持つ山崎章郎が勤めるこのホスピスが定期的に出しているミニコミ誌「ホスピス通信」。これをまとめた本書を読んでいろいろ考えるきっかけになった。
ケアする側だけでなくケアされる側、そしてボランティアで手伝っている側、それぞれの意見・コメントを載せているところが秀逸。ターミナルケアやホスピスについて少しでも興味ある人は是非。ただ、まとめて載せているだけなので全体に散漫なのが欠点。

1997年3月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:健康 , 教育・環境・福祉

LV5「神さま、それをお望みですか」

曾野綾子著/文藝春秋/1700円

神さま、それをお望みですか―或る民間援助組織の二十五年間
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嫌な題名ではある。
著者もそれを認めている。題名に拒否感持つ人は読まなくてもいい、と開き直っている。でもボクは曾野綾子を無条件に信頼していたりするので読んだ。そうじゃなかったら読まなかったかも。

副題は「或る民間援助組織の二十五年間」。
そう、著者が主催する民間ボランティア活動の記録本。決して嫌味にならないように細心の注意を払って書いても嫌味になりがちな題材ゆえ、著者はぼやかすのを諦め、逆にそれを利用して書いているようなところがある。平明な記録に撤しつつ上手に主張を滲ませていく。その含羞が著者の真骨頂かも。ボクは嫌ではなかった。それどころか感動までしてしまった。活動にではない。なんというか人間の「ささやかさ」みたいなものに。抽象的だけど、こうとしか言い様がない。

1997年1月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:教育・環境・福祉 , 時事・政治・国際 , 経済・ビジネス

LV5「ハウステンボスの挑戦」

神近義邦著/講談社/1700円

ハウステンボスの挑戦
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4月のはじめにハウステンボスを訪れたおりに、現地で売っていたこの本を軽い気持ちで買い求め軽い気持ちで読み始めたのだが、その面白さに眠れなくなり、せっかくのハウステンボスでの休日も寝不足で頭ガンガンという状態になってしまったのだった。

著者はハウステンボスを無から作り上げた人物。
村上龍曰く「夢をいかにして実現するか。すべてこの本に書いてある」と。ハウステンボスというテーマ都市に興味がない人でも十分面白く感動できる内容になっているのが立派。94年1月初版なので注文しないと手に入りにくいと思うが。

1996年5月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ノンフィクション , 教育・環境・福祉 ,

LV3「ジェルミ・エンジェルの野生誌」

ジェルミ・エンジェル著/読売新聞社/1529円

ジェルミ・エンジェルの野生誌
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ムツゴロウ動物王国に7年いてその後も日本に住み続けているジェルミ・エンジェルが書いた「自然とうまく暮らす法」。

海外も日本もよく知っている彼の、環境、地域、自然などに対する問題意識がばんばん脳に飛び込んでくるので、読んでいると日本に住んでいるのが嫌になるが、批判のための批判ではなく心からの叫びが多いから、何とかせねばと思ってしまう。自分の中に眠っている問題意識を呼び起こしてくれる本でもある。
世界中のいろんな動物についてのエッセイも読ませる。

1995年10月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ , 教育・環境・福祉

LV3「書誌学の回廊」

林望著/日本経済新聞社/1631円

書誌学の回廊
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書誌学なんて普通の人にはあまり縁がない学問なのだが、その面白さをわかりやすく説いてくれ、入口までスムーズに連れて行ってくれる。しかも別に書誌学の解説本に終わっているわけでもなく、そこからいろんな世界へ広げていってくれ、知識を得ることの楽しさまで教えてくれる。うん、たいへん面白い。

博物館に置いてあるあのデザインの悪い日本特有の出版物「古書」。あれって何なんだろ、って思ってる人に新しい世界を開いてくれる本。博物館に行くのが楽しくなること請け合い。

1995年10月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ , 教育・環境・福祉

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