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対談(28)

LV3「出会いの先に」

進藤晶子著/ASKII/1600円

出会いの先に
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9月に進藤晶子がパーソナリティを務めるT-FMの番組にゲスト出演した。
TBSでキャスターやっているころからその感じの良さにぐっと来ていたが、実際に会ってみるとそりゃぁもう想像以上。ニコニコと自然体でゲストのボクを導いてくれ、生放送の緊張をまったく忘れてしまった。そんな彼女が本を出したというのでさっそく買ってみた一冊。

週刊アスキーで連載している対談(現在100人ほど)から14人をセレクトした本で、対談相手は「現代を牽引するトップランナーたち」。庵野秀明、坂本龍一、桐野夏生、古田敦也、糸井重里、阿川佐和子、荒木経惟、花村萬月、松永真、中村正人、三谷幸喜、浅利慶太、西村由紀江、多田琢、と言った人々の名前が並ぶ。個人的には、松永真と中村正人の対談が興味深かった。
対談ってインタビュアーの力量がそのまま出てしまう恐ろしい分野なのだが、進藤晶子の場合、ある種のお育ちの良さがすべての対談者に影響を与え、優しくゆっくりと話が進んでいく。インタビュアーとしては発展途上かもしれないが、相手の心を開かせてしまう名人にこの人はなれるかもしれない。そんなことを思った。

2003年10月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談

LV3「もっとコロッケな日本語を」

東海林さだお著/文藝春秋/1095円

もっとコロッケな日本語を
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東海林さだおを好きな人は多い。ボクももちろん好きだが、どちらかというと消極的に「嫌いではない」といったスタンス。なんかね、決して敵を作らない内容と文章が、どこかでウソっぽく感じられてしまい、好きになりきれないのだ。とかいいつつ、たまにこうして彼の本を読むとやっぱりうひゃうひゃ笑って楽しんでしまう。うーむ。結局嫉妬に近い気持ちがあるのかもしれない(笑)。

この本は「オール讀物」に連載されたものをまとめたもので、例によって食事関係の章も多いが、この本に限ってはそれ以外が面白い。特に好きなのは「ドーダの人々」シリーズと「なにわ七低山めぐり」。大笑いである。また、対談も面白かった。イラストも絶品。そう、結局とても面白い本なのです。まぁなんというか、老後に取っておきたい作家ではあるなぁ…。

2003年9月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ , 対談 , 食・酒

LV5「海馬」

池谷裕二・糸井重里著/朝日出版社/1700円

海馬/脳は疲れない ほぼ日ブックス
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副題は「脳は疲れない」。ほぼ日ブックス第二弾の一冊。

東大薬学部の気鋭の学者である池谷氏と糸井氏の対談をまとめたもので、脳についての最新研究における池谷氏の成果と糸井氏のクリエーターとしての視点がコラボレーションして、実に興味深い内容になっている。
少し挙げるだけでも「脳はいくら使ってもまったく疲れない」「30歳過ぎてから頭は飛躍的に良くなる」「睡眠時間は脳の疲れを取る時間なのではなく、脳が情報を整理する時間である」「夢は整理の過程でいろんな情報をランダムに結びつけてみることから起こる」「脳細胞は一秒に一個死んでいくが、もともとの容量が莫大なので無視していい」「使えば使うほど脳は成長する」……などなど、いままでのいろんな胸のつかえがおり、現41歳のボクに自信と勇気を与えてくれる内容がゴマンと入っている。
各章ごとにまとめも作ってあり、記憶をきちんと整理したあとの脳の中身みたいな印象に本が仕上がっているのもいい。あとはこのまとめ(記憶)をなにと結びつけて、読者自身がブレイクスルーを起こすか、である。

発見は多かったが、特に「脳は疲れない」ことと「睡眠とは脳の最適化作業なのだ」と気づかされたのは大きい。もっともっと脳を酷使しようという気になったしね。うはは。んでもって、ちゃんと睡眠しないと、整理されない雑然とした脳になる、というのも実感としてわかる。インプットがそのまま積み重なっているようなあの徹夜明けの気分。なるほど、ちゃんと寝よう。

などなど、目から鱗の発見が多く、味読したい事実が多い本であった。
池谷氏が最前線で研究する31歳の学者であるというのもいい。糸井氏の先輩風を全く吹かせない謙虚で好奇に満ちた姿勢もいい。ふたりとも論の掘り起こし方は天才的だ。脳を知り、脳を刺激するために読むべき一冊。

2002年9月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 , 科学

LV0「響くものと流れるもの」

福田和也、柳美里著/PHP研究所/1400円

響くものと流れるもの
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副題「小説と批評の対話」。
批評家福田和也と純文学者柳美里の対談。どちらの激しさもそれなりに認識していたボクなので、このふたりの対談というだけで即買い。激しい言い合いと深い理解と豊かな結論がそこにあるのでは、と期待した。

結果的には、なんか「お隣同士の主婦が高級レストランでお互いを妙に褒め合っている図」みたいな印象。
彼らがもともとその文学的見地から大喧嘩していたという事実から、編集者はこのふたりの和合対談自体を「事件」としているようであるが、そんなことあずかり知らぬ読者にはその辺の劇的さが伝わらず、妙な内輪受けしか感じない。そう、事情がいまひとつ読めてこないのがまず不親切。昔の大喧嘩コラムは再録されてはいるのだが、その辺の消化具合は本対談では触れられず、いったい何を目的に何をふたりで解き明かしたいのかボンヤリしたまま最後まで行ってしまう。

いったい何が響くもので何が流れるものなのか、福田が怒り柳が猛った昔の感情はどう解決されたのか、読みが足りないのかもしれないが、ボクにはボンヤリとしか見えてこない。当代一流のふたりの対談にしてはそこそこの面白さしかない残念な作品。

2002年8月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 , 評論

LV5「田中康夫が訊く」

田中康夫著/光文社/1500円

田中康夫が訊く―どう食べるかどう楽しむか
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副題が「どう食べるか どう楽しむか」。
雑誌「BRIO」に99年5月〜01年6月まで連載したレストラン見栄講座的連載を再構成した本。連載中も意識して読んでいたが、著者のイイトコロが出たいい連載だった。

著者に「ソムリエに訊け」という田崎真也をインタビューした本があるが、構成はほぼ同じ。著者が初心者のボクたちに成り代わっていろんな質問をプロにしていくというインタビューものだ。その質問が、素人すぎず玄人すぎず、非常にバランスがいいのである。そうそうソコが知りたかったのよー的ポイントをしっかり突いてくれる。著者独特の向上心がいい方に作用した「格好いい客になるためのマニュアル集」とも言えるかも。

青柳から始まって、寿司幸、楽亭、味満ん、燕楽、ふじおか、アカーチェ、タイユバン、バーラジオ、福臨門、スタミナ苑、俵屋旅館など、取材という立場を最大限利用していい思いしやがったなぁとうらやましくなるようなラインナップに細かくインタビューしていく。
注文上手になるためにはどうすればいいか、なにからどう食べるのが正解か、粋な食べ方とは何か、何が本当においしいのか、など、読者に成り代わって丁寧に質問してくれている。初心者よりある程度知っている人の方が「目から鱗」が体験できるかもしれない。

個人的には中華ととんかつに目鱗。中華は知っているようで知らなかった分野。ほーこういうことになっているのかーと素直に感動した。こうやって楽しむべしというマニュアルに使うより、行間をちゃんと読んで、より食べ巧者になるために活用したい。そんな本である。

2002年5月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒 , 対談

LV5「話の後始末」

立川志の輔・天野祐吉著/マドラ出版/1600円

話の後始末
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おもしろい構成の本だ。
志の輔(ためしてガッテンの人)が絶妙なマクラと共に落語をしゃべり、その後、天野祐吉と世の中についてあーだこーだ対談する、という構成の章が5つ。おふたりによるそういう構成の「講演」を本にしたものらしい。落語と対談はテーマが同じなので、無理なくそのふたつがつながっているのもなかなかいい。帯に「落語つき世相放談」とあるが、そのコピーが一番内容を言い得ているかも。

まず落語がおもしろい。オリジナルもあるが(よくできている)、基本は古典落語。有名なものばかりだが、あらためて志の輔の視点で読まされると非常に笑える。この人、落語うまいかも。また、そのあと天野祐吉が登場して、まずは落語の感想から入っていき、どんどん世相に話が広がっていくバランスが良い。ふたりとも話し上手かつ品がいいので、なんだか気持ちよく言葉の波に乗っていけるのである。そこには笑いだけでなく発見も多々ある。

2002年4月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:アート・舞台 , 対談

LV5「オバはん編集長でもわかる世界のオキテ」

福田和也著/新潮文庫/362円

オバはん編集長でもわかる世界のオキテ―福田和也緊急講義
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「新潮45」で「オバはんでも45分でわかるニッポン」という題名で連載していたときから愛読していたものが一冊にまとまった。

362円でこれだけ現代世界をシンプルに理解できる本も珍しい。
テロやアフガン攻撃や日本国憲法や不審船騒ぎや……とにかくオバはんが先入観と感情と狭い理解のみで質問していき、著者はそれに根気よく丁寧に答えていく。
もともと著者はやさしくわかりやすく解説することに長けてはいるが、「新潮45」の新編集長(オバはん)のものの知らなさは抜群なので、それに対してサルにもムカデにもわかるように根気強く説明していく様は、さながら北京原人に車の運転を教えるが如し。ちょっと感動的ですらある。いや、サルよりたち悪いかも。サルはオバはんみたいなコテコテの先入観に毒されてないもん。世の中の深い部分を見ようとしないタイプの代表としてオバはんは完璧な配役なのだ。

説明する側は実にたいへんだろうが、読む側は実におもしろい。バイプレーヤーとして出てくる編集者たちも(描き方がいいのだろうが)とても面白い。読み飛ばすだけでも世界がかなりわかる。オススメである。
※ちなみにオバはんみたいなタイプの人こそ本当の意味で頭がいいと思っていたりもする。

2002年4月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 , 対談

LV2「人生を救え!」

町田康・いしいしんじ著/毎日新聞社/1500円

人生を救え!
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町田康が毎日新聞紙上で連載した人生相談をまとめたものが前半。後半はいしいしんじと一緒に浅草とかを歩きながら対談したものだ。

前半の人生相談が圧倒的に面白い。
なんつうか、まぁしょーーーもない相談が多いのだが(スカートがはきたいとかネコがいなくなったとか何をやっても続かないとかうちのテレビが壊れたとか)、そのしょーーーもない相談に町田康が例のパンク文体で確信犯的生真面目さでトツトツと答えていくのが笑える笑える。特に、展開が読めない書き出しの妙、が見事。相談への答えなのに、質問を受けないで文章が始まる。そこらへんがうまいなーと思わせる。

いしいしんじ氏については実はよく知らない。要注目作家らしい。後半の散歩対談はそんなに面白く感じなかった。

2002年3月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ , 対談

LV2「鳥頭対談」

群ようこ/西原理恵子著/朝日文庫/460円

鳥頭対談―何を言っても三歩で忘れる
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群(むれ)ようこと西原(さいばら)理恵子の対談が面白くないわけがないだろう。
近そうでいて方向性的接点がなさそうなふたりが、それぞれのファンを吸い上げる狙いを明快に表面に出しつつ、凄まじい内容の対談をしている。特にそれぞれの超浪費家母親に対する愚痴というか呪詛というかは秀逸で、稼いでも稼いでもサルのように使っていく母親たちへの報復ツッコミはまさに抱腹。またそれぞれの異なる青春時代へのツッコミもなかなか笑える。西原のマンガも、西原得意の「ちょっと上の権威を叩けるポジショニング」を得て、非常に冴えている。

この対談をした雑誌「uno」が早々につぶれたため、対談の数が足りず、薄っぺらい本になってしまったのが惜しい。
また、群自身、どちらかというと年上のほんわりしたボケにツッコんでいく方が向いていると思われる節もあり、西原のような年下からきついツッコミをされるポジショニングがそんなに得意でないように思われるのがちょいと可哀想。
要するに「ツッコミ×ツッコミ」のコンビになってしまったのが残念だ。群のポジショニングが中途半端になり、彼女の面白さが十二分に活かされなかったのが惜しいのだ。

2001年12月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談

LV3「東京の窓から日本を」

石原慎太郎著/文春ネスコ/1800円

東京の窓から日本を
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TOKYO MX TVの人気対談番組「東京の窓から」の単行本化。
石原慎太郎をホストにした対談を活字にしてあり、脚注なども充実しており、とっても明快な「東京論」そして「日本論」になっている。単に「東京の窓から」という表題にせず、もう一歩踏み込んで「日本を」というひと言をつけた意味がよくわかる内容だ(続編は「変える」というひと言が入るのかにゃ?)

対談相手は、唐津一、佐々淳行、グレゴリー・クラーク、孫正義、米長邦雄、金美齢、志方俊之、はかま満緒、ビル・トッテン、竹村健一、徳間康快、ベマ・ギャルポ、中曽根康弘の13人。それぞれに頭脳明快な対談相手であるが、なにより全員「自分の分野から見た自分独自の意見」をしっかり持った対談相手だけに、ホストである石原慎太郎(独自の意見という意味では負けない)と意見が絡み合い出すとちょっと鳥肌ものの明快さに発展するところがあり、面白い。石原は各専門家たちに対してわからないところは率直に伺う姿勢を見せており、伺った意見を自分の中で整理する過程も透けて見えたりしてそれも興味深かった。

読んでいて「日本ってやっぱりヤバイよな」と危機感にさらされる本でもある。問題意識を持たないとヤバイことが次々に出てくる。どの対談も刺激的だったが、個人的に、唐津、徳間、竹村、クラーク、米長、孫あたりの対談が面白かった。

2001年12月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 , 時事・政治・国際

LV3「同じ年に生まれて」

小澤征爾/大江健三郎著/中央公論新社/1400円

同じ年に生まれて―音楽、文学が僕らをつくった
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1935年に生まれたふたりの巨人、小澤征爾と大江健三郎の対談集である。副題は「音楽、文学が僕らをつくった」。

小澤と武満徹や、小澤と広中平祐の対談のおもしろさに比べると、ちょいと落ちる印象。大江健三郎という人はいまひとつアドリブが利かず、話し出すと論文調になってしまい(校正の段階でいっぱい赤を入れたからそうなったのかもしれないが)、巨人ふたりのセッションというよりは、かわりばんこに独奏しているという印象。それではつまらない。なんかふたりの話が盛り上がっている感じがあまり伝わってこなかったのが残念。

もちろん上手にセッションになっているところもあって、そこは面白かった。
闊達な小澤が特に良く、大江も素直な部分を見せていたりして良い。小澤が音楽の本質を語るあたりが特に印象的。大江もなにかを発見したような感嘆を見せる。でも、全体に触発されるといったところが少ない本であった。大江のペースでたんたんとした謙虚な対話が進むだけ。含羞があって気持ちは良いが、刺激と触発を望んでいる読者には物足りないだろう。

2001年11月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 , 音楽 , 評論

LV1「『教育の崩壊』という嘘」

村上龍著/NHK出版/1300円

「教育の崩壊」という嘘
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「希望の国のエクソダス」以来、教育についての発言が目立つ(というか、せざるを得なくなった)著者の対談集。
刺激的な題名ではあるが、内容的にはちょっと迎合的。特に活発な論戦があるわけではない。特に「学校崩壊」という著書を持つ河上亮一との対談は題名からして熾烈なものを予想したが、少し肩すかしであった。

著者の主張は(彼の教育関係本には一応目を通すことにしている)ボクにとっては目新しくないものであった。
が、次々パワフルに対談したり調査したりを続けることによって、彼の主張はより深くなっていることは実感する。もしくはより村上龍的になっている。さてこうなってくると行き着く先は「著者自身がこの国の希望をアナウンスすること」であろう。すべての主張はそこにたどり着いてしまう気がする。そして彼はそれを考え始めているような気がこの本を読んで、した。

なお、巻末の「中学生1600人アンケート」はかなり面白いが、谷岡一郎著「『社会調査』のウソ」を読んでリサーチ・リテラシーを少し鍛えてからこれを読むと、これもどうかなぁと思う。
まずアンケートを取った普通校に進学校やフリースクールをまぜる比率を全国的比率に合わせるべきである(数的に)。次に「アンケートを返してくる生徒は、その時点で問題意識がある生徒」であること。アンケートすら返す気力、積極性がない生徒こそ「崩壊の原点」なのではないのか。三つ目に、ピックアップしている回答が「村上龍の主張に都合のいいものに偏っている」はずであること。せめて回答例の全体分布を載せた上でピックアップするべき。

このままこれが「中学生全体の意見」とされてしまうと害悪このうえない。「このアンケートを読んでこの題名を考えついた」と著者は言うが…その程度で教育の崩壊を「嘘」と断言するのはいかがなものだろう。

2001年4月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 , 教育・環境・福祉

LV4「オン!」

池田晶子著/講談社/1800円

オン!―埴谷雄高との形而上対話
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1995年発売。
埴谷雄高と池田晶子の対話を中心に、著者の処女作である「埴谷論」やもっとエッセイっぽい埴谷論などが混ざり、埴谷を知る者も知らない者も知っててわからない者(ボク)も、それなりのレベルで楽しめる本。

哲学書だけど、わりと楽しかった。普段舌鋒鋭いあのイケダアキコが妙に初々しかったり、あのハニヤユタカが理解者を得てウキウキ話すのも面白いし(埴谷はある種の恋を著者にしている)、読者に理解させることを前提としていないその対話はめちゃめちゃ難しい部分も多くてこれまたある種自虐的楽しさがあったりして・・・多忙すぎた春の夜を締めるにはわりと最適な本ではあったのでした(つまり知的興奮と睡眠誘導がバランスよく行われた)。

「死霊」は未読、積ん読、飾っ読。わからないなりにも「死霊」をある程度囓ってから読んだ方がこの本の凄さはより体感できるのだろうが、このたった250ページ弱のオムニバス本を読むだけで2週間かかってしまったのだ、「死霊」に至ると一生仕事であろう。でも、結局「存在」について考えることに至るなら、それでもいいということか。

「オン」とはギリシャ語で「存在」のことらしい。この勢いをかって久しぶりに著者の「メタフィジカ!」も読み直してみようかな。あ、新刊「リマーク」も未読だった。と思ったら他にも新刊が出るらしい。うーむ、池田晶子漬け。なんか読むのに時間かかるからしょっちゅう池田晶子ばかり読んでいる気になってしまうよ。主題はひとつなのにね。

2001年4月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界 , 対談

LV3「それはまた別の話」

和田誠・三谷幸喜著/文春文庫/638円

それはまた別の話
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映画ファンの中では、和田誠の対談相手といえば山田宏一と決まっていた。ベストカップル。それが今度は三谷幸喜だと言う。ま、彼も大好きだし、いい企画なので素直に喜ぶが、ボクは山田氏とのカップリングの方がやっぱり好きだな。三谷幸喜もいい味出しているけど、対等には渡り合えてなくて、わざと自分の小さなこだわりにツッコムことでなんとか自尊心を満たしている感じ。それを和田誠は微笑んで見ている感じ。

いや、三谷氏も健闘している。でももうひとつ話が膨らまないのが弱い。世代が少し違うからかな。それともこの手の「和田誠対談企画」にボクがちょっと飽きてきているのか。まぁ映画をビデオで詳細に見直せるようになってからは、和田誠の驚異の記憶力も神通力失ってきたしなぁ。
ちなみに題名はボクの口癖でもある。「あなただけ今晩は」や「ネバーエンディングストーリー」で効果的に使われていたセリフ、だよね。

2001年3月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:映画・映像 , 対談

LV5「翻訳夜話」

村上春樹・柴田元幸著/文春新書/740円

翻訳夜話
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素晴らしい企画。本屋でこれを見つけたときは目をむいたぜ。
なにせ村上春樹と柴田元幸が翻訳について語るのである。そのうえ村上がオースターを、柴田がカーヴァーを訳して対比させて、そしてそれをテキストにしてまた語り合うのである。うーむ。なんちゅう気の効いた企画なんだ!!

彼らの翻訳手法の対談は、同時に優れた文章談義になっており、また小説表現の秘密にまで踏み込まれている。このところ翻訳論みたいな本がいろいろ出ていたが(今月もそういう本を一冊読んだが)、納得したという面でこの本を越えるものはなかなかないだろう。つうか、たぶん「名手による経験談」かつ「平明シンプルな語り口」が効いているんだろうな。青山南も加えて三人で話したらまた違った展開だったろうなぁ。そういう対談も読んでみたい。

翻訳で本の内容が変わってくることにボクが気がついたのはディネーセンの「アフリカ農場」を違う翻訳で読み比べた経験から。
それ以来特に翻訳には注意を払っているが、村上と柴田の対訳を読んでみて「これほどまでに違ってくるんだな」と驚愕。だって同じ小説がまるで違う趣になるんだよ。比較的文体が近いふたりなのに。参ったな。そういう驚きを得るだけでも価値ある本。

2000年11月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 , 評論

LV3「人間の行方」

多田富雄・山折哲雄著/文春ネスコ/1600円

人間の行方―二十世紀の一生、二十一世紀の一生
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副題が「二十世紀の一生、二十一世紀の一生」。
なんかPHP出版が出しそうな本である。著名な科学者と著名な宗教学者がそれぞれの立場に固執しないで腹を割って話し合った、ある種の人生論。実際含蓄に富んでいる。科学と宗教という思いっきり反対の立場にたつ識者同士だから物事の見方が多角的になり、読者にあらぬ方向の思考を強いてくれる。人生や人間や生き方を考えるいいきっかけにはなるだろう。

ただ、老練な識者同士だからこその曖昧さはある。いろいろ問題が複雑に絡み合っているとわかっている同士だからこそ、ちょっと言葉を濁しがちになってしまうのだろう。命題が無難な方向に収束してしまったり、答えを明確に出さなかったりするのは少し残念。ま、答えが出ようがない命題が多いから仕方ないのだけど。
でも、読者は彼らの「偏見」を読みたいし、彼らの「敵対論争」も読みたいのだ。いたずらにスキャンダラスにしろ、というのではなく、ある強い偏見こそ刺激的な「考えるヒント」になると思うからである。

ある書評でベタ誉めしてあったからかなり期待をして読んだが、ちょっぴり期待はずれかな。こういう議論をとっくの昔にふまえている秀逸SFとかが多いせいもあるかも。

2000年8月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界 , 対談

LV5「経済ってそういうことだったのか会議」

佐藤雅彦・竹中平蔵著/日本経済新聞社/1500円

経済ってそういうことだったのか会議
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有名CMプランナーにして「だんご三兄弟」の作者である佐藤雅彦は「仕掛け」が非常にうまい知能犯。この本でも「大学を出てサラリーマンもやったけど、結局、経済ってよくわかんない」というスタンスを明確にして、とっても身近で平明な例をひきつつ、経済とはどういうことなのかを解き明かしていく。応えるのは竹中平蔵。これまた頭の固い経済学者に爪の垢を煎じて飲ませてあげたいくらい平明に佐藤の質問に答えていく。

題名もいい。装丁も素敵。内容は実にわかりやすい。かといっていわゆる「サルにもわかる」的うざったさもない。ある程度の知力を前提として書かれているあたりのバランス感が見事なのだ。
こういったややこしいことの質問者として佐藤雅彦ほどの適任者はいまの日本にはいないのかもしれない。西原理恵子もある意味一人者だが、ちょっとサルに偏りすぎる。彼にもっといろんなものの不思議を解いていって欲しい、と、ちょっと他力本願に思ったりするボクは怠け者です、はい。

2000年5月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 , 評論 , 経済・ビジネス

LV3「最前線」

村上龍著/ラインブックス/1600円

最前線
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村上龍の対談集。各界最前線を走っていて、かつ、その状況をノンフィクションとして発表している人たちを迎えていろんな問題に迫っている。河上亮一、諏訪哲二から、宇田川悟、宮崎学まで、何人かハズシた人はいるが、でもそれぞれ非常に面白く読んだ。時代は「超情報化社会」である。だのに、その最前線の現場の状況は驚くほど我々に伝わっていないのがこれを読むとよくわかる。特に教育現場。そしてヨーロッパの状況。

うーん。確かに村上龍の言うように日本は近代化を終えたのだと思う。そして彼のいう意味での「個人」がこれからの主役になっていくだろう。著者は文筆という表現形態を持っている最前線の人々(ノンフィクション・ライター)とこの本を作ることでネットワークを持ち、近代化の終焉などをしっかりアナウンスしていこうという野望があるのではないか、とちょっと思った。

2000年1月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 , 時事・政治・国際

LV5「路地裏」

梁石日・黒田征太郎著/アートン/1500円

路地裏
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あまり語られることのなかった黒征の一生がきっちり本人の口から語られている。
それだけでも個人的には買い。梁石日(ヤン・ソギル)についてはまだ著書を読んでないから思い入れがないのだが、著者ふたりの体臭みたいなものがしっかり匂ってくる対談・エッセイ集で、ボクはとても興味深く読んだ。いや、興味深いなんてもんじゃない。かなり刺激を受けた。

文章の端々に彼らの根っこが見えてくる。彼らの行き方の骨みたいなものが浮かび上がってくる。「ろくでもない人生」を精一杯「おもしろがって生きている」彼らの背筋の伸び方にうらやみを感じない人はいないだろう。ボクは嫉妬した。でも「まだ間に合う、まだやれる、まだ追いつける」とも思った。黒田征太郎は60歳。20歳以上年上である。20年あったらなんでも出来る。20年後を見ていろよ。久しぶりにめちゃめちゃ前向きにさせてくれた一冊。

1999年9月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 , 自伝・評伝

LV5「コマネチ!~ビートたけし全記録」

北野武編/新潮文庫/705円

コマネチ!―ビートたけし全記録
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しばらく前に出た「新潮45別冊」の文庫化。

松本人志、今村昌平、古田敦也との対談や、映画「HANA-BI」が出来上がるまでのドキュメント(監督手法が面白い)や、吉川潮や中野翠という手練れが書くたけし論や、軍団によるたけし評とか、フォトアルバムや賞罰一覧、年譜など、目一杯「たけし」が浮かび上がる「雑誌」となっている。

対談もたけし論もおもしろいが、やっぱり要所要所で出てくるたけし語録が一番おもしろいし刺激的だ。こうして読んでいるとたけしって「過剰の人」ではなくて「省略の人」なんだな、と再認識。うーむ。

「おいらの好きな小説」という項で1位が「次郎物語」だったのを見てなんだか北野武がよくわかった気がした。実はボクも「次郎物語」が一番かも。ちなみにたけしの2位は「青春の蹉跌」。3位は「罪と罰」。洋画の1位は「フェリーニの道化師」(わかるー!)。洋楽の1位はビートルズの「ドン・レッミー・ダウン」(これまたわかる!)

1999年7月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 , 映画・映像 , 自伝・評伝

LV1「戦争論争戦」

小林よしのり×田原総一朗著/ぶんか社/1500円

戦争論争戦―小林よしのりVS.田原総一朗
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田原総一朗の「仕切能力だけで論を展開する技術」が白昼のもとにさらけ出されてしまう様がかなり恥ずかしい一冊。

自分が展開したくない方に話が行くと、「それは違う!」と大声で発言を遮ったり話題をめちゃ強引に変えてしまったりする。その技術に乗せられてしまう小林よしのりはオコチャマに見えてしまうくらい人が好い。いや、わざとでも乗せられとかないと単にケンカになるだけか…。田原総一朗は別に好きでも嫌いでもないが、誰か言ってやれ、大声戦法で議論に勝とうとしている時点でそれは戦争肯定なんだ、と。声を使うか武器を使うかの違いだけじゃないか。

内容的には近代史を勉強し直したくなる一冊、ってところかな。まだボクは戦争に対する自分の意見が確立していないから(そろそろ確固たるものを持たないとなぁ)、そういう意味では参考になった。

1999年4月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 , 対談

LV1「貧乏だけど贅沢」

沢木耕太郎著/文藝春秋/1524円

貧乏だけど贅沢
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著者がテレビに出ないのは正解である。
だって紙上対談ですらこんなに面白くない。アドリブの人ではないのだ、沢木耕太郎は。これはたぶん対談相手のことを調べすぎていることも一因だ。対談に際して準備しすぎ。著者自身も「納得するまで相手の作品を読んだり見たりしたうえでないと安心してその人に会うことができない」と書いている。うーん…それでは対談でも対話でもなくてインタビューだろう。

内容は「旅をめぐる対談集」といったところ。
井上陽水、阿川弘之、高倉健、群ようこ、田村光昭など、魅力的な人選なのだが…。対談者のことはいっぱい調べているかもしれないけど、著者自身はわりとワンパターンなしゃべりだから、なんだか読んでいてつまらない。インタビューでもない、アドリブ的な対談でもない、中途半端さ。

1999年4月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 ,

LV2「約束された場所で」

村上春樹著/文藝春秋/1524円

約束された場所で―underground〈2〉
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副題が「underground〈2〉」。つまり、地下鉄サリン事件の被害者たちをインタビューした分厚い本「アンダーグラウンド」の続編にあたる。

今度は加害者側をインタビューしており巻末に河合隼雄氏との分析対談もある。
インタビュアーが黒子をやめて一歩前に出てきた感じだ。それは小説家として正しい態度であると思うが(前作ではその点が少々物足りなかった)、今度はバイアスのかかり方が最初からいくぶん加害者否定になっているところが不満である。常識家ならそれでいいのだが、小説家がそれでいいのであろうか。

また、サンプル数が少ないのも不満。前作はその飽きるほどのサンプル数が結果的に全体を浮き彫りにしたのだが、今回はそういう作用がなかった。単に「特殊な人々」という見え方にしかならないサンプル数である。

評価すべきなのは「この時期に出した」ということ。もう一度あの問題を根本から考え直すのに最適のタイミングではなかろうか。

1999年1月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ノンフィクション , 対談

LV1「気まずい二人」

三谷幸喜著/角川書店/1200円

気まずい二人
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対談が苦手だと公言する著者の対談集。
美女達との全然話が盛り上がらない対談をそのまま本にしている。その「狙い」があざとくてなんだか居心地が悪かった。「狙い」が読めちゃうのはいいんだけど、最終的に読み物として定着させるためにはその「狙い」をもう少し隠して上手に演出してから売って欲しいのだ。

つまりは、スタッフの笑い声を入れるような「バラエティ番組的内輪ウケ演出」の域を出ていないのがボクにはつらかった。読み物にするとその演出は辛いのだということがいまひとつわかられていなかった気がする。

1997年9月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談

LV3「吉本隆明×吉本ばなな」

ロッキング・オン/1500円

吉本隆明×吉本ばなな
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まず褒めるべきは聞き手役の渋谷陽一。
この文壇の新旧アイドル対談(もちろん親子対談でもあるが)は両者の常識的ではないキャラクターを統率し、適度にミーハーで適度に物知りで適度に文学的である必要がある。この役をかの渋谷陽一がここまで見事に演じきるとは思わなかった。この親子と対談するなんて僕ならびびり上ってしまうところだ。すごいね。

内容的には、濃く面白すぎる部分と、薄くしなびた部分の差が激しいのが気になる。そのうえ何故か読みにくい。読み辛い対談集は、辛いよなぁ……編集の問題だろうか。各人の語りに行替えがないのが原因かな。

1997年6月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談

LV5「結局わかりませんでした」

ビートたけし著/集英社/1400円

ザ・知的漫才 ビートたけしの結局わかりませんでした
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副題が「ザ・知的漫才」。
ビートたけしが日本の知性(?)9人(松井孝典、養老孟司、本川達雄、荒川秀樹、ピーター・フランクル、荒俣宏、中原英臣、森幹彦、上野正彦)と対談したもの。知らない人もいるけど(だってただの歯医者もいる)、とにかく勉強したくてうずうずしてくることだけは確かな本だ。

これを読むとビートたけしの本質は「物事の本質をついている人」ではなくて「地にしっかり足がついている人」なのがよくわかる。地に足がついていない人がこういうことをすると対談ではなく単なる「インタビュー」に終わってしまうだろう。自分の視点と土俵からしっかり意見をいうことの大事さを思い知らされました。(ただあとがきは説教臭くてイヤ)

題名が秀逸。もともと論理的でない世界を論理的に論じようとする無意味さを端的に言い表している。教養好きの人は必読。向学心という化石を取り戻してみたい人も是非。

1997年3月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談 , 評論 , 科学

LV1「人生途中対談」

東海林さだお・椎名誠著/文藝春秋/1100円

人生途中対談
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著者それぞれはすごく面白いのだが、こうして対談をまとめてみると個性を消しあっている部分があって惜しい感じ。
たぶん対談のその場でライブで聞いていたら抱腹絶倒なのだろうが、その味が紙に定着していない。本の雑誌社での発作的座談会における沢野氏みたいな潤滑油が欲しいのである。椎名氏はたぶん東海林氏に対して尊敬的なる緊張をしていてちょっと言動がぎこちない。やはり沢野氏みたいに上から押さえつけたくなる人(親分的態度をとれる相手)の存在がないと彼の持ち味は生きてこない気がする。そしてそれを東海林氏も受けきっていない。お互いに少しずつ遠慮している。残念。

1996年12月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:対談

LV0「うまいもの・まずいもの」

東海林さだお・尾辻克彦・奥本大三郎著/リテール・ブックス

うまいもの・まずいもの
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題名に惹かれて買った。
3人の「うまいもの・まずいもの」というお題の対談をそのまま本にしてある。

目新しい情報提供というよりは、雑談に近い感じ。でもこういった雑談本の存在価値は実はもう終わっているのかもしれない。雑談対談であればテレビの方が面白いのである。こういったものを安易に出版するから活字ばなれがおきるのではとすらボクは思っている。面白くない対談でもテレビなら間が持つが、本だとちょっと腹が立つかも。テーマを新しくするとか工夫をしなくてはたまらない。もしくは、椎名誠他が「本の雑誌」で繰り広げる対談を見習うべきである。読み物としてしっかり面白くして発表している。そういう意味でこの本は努力が足りない気がする。毒舌慧眼評論家安原顕の編とも思えない中途半端さである。ちょっと残念。

※リテール・ブックスの本が絶版ぽいので、中央公論新社の本にリンクしました。

1996年11月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:食・酒 , 対談

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