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哲学・精神世界(29)

LV5「木を植えよ!」

宮本昭著/新潮選書/1100円

木を植えよ!
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名著「魂の森を行け」で半生と生き方とその活動を丹念に描かれた宮脇昭が書いた本である。

その破格な人生、そして切実なる森への想い、鎮守の森を守る活動など、実は「魂の森を行け」を読んだ方がよくわかる(感想はこちら)。まだ読んでない方はそちらを先に読んだ方がよい。で、「魂の森を行け」を読んだ人は100人が100人、宮脇昭自身の言葉に触れたくなるであろう。そういう意味ではTOO MUCHなほど触れられるこの本は貴重だし、欲望を心底満たしてくれる。

過激な題名を持つこの本は、哲学や提言というより実践的プロモーションな本である。
とにかく四の五の言わず木を植えよ。理由と背景はこれこれだ。木の選び方はこれこれだ。やり方はこれこれだ。「そんなこと自分では難しい」と思っている人にはこういう方法もある。とにかく植えよ。すぐ植えよ。と、畳みかけてくる。その畳みかけの激しさはちょっとウットリくるほどだ(文章が激しいというわけではない)。

「ヒトは『森の寄生者』の立場でしか、持続的には生きていけないのです。これは、人類が地球上で生き延びる限り永遠に続く冷徹な事実なのです」

……この言葉に少しでも引っかかる人は必読だ。

2007年2月 8日(木) 19:24:12・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界 , 教育・環境・福祉 , 実用・ホビー , 評論

LV5「仏像のひみつ」

山本勉著/朝日出版社/1470円

仏像のひみつ
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あ〜全部わかっちゃったよ、仏像のこと。すっきりしたなぁ。

全部ってオーバーか。もともと東京国立博物館に勤務していた著者が「親と子のギャラリー 仏像のひみつ」展を企画しその内容を本にしたもので、つまりは子供にもわかるように書かれていて、枝葉末節は省略してある本なのだ。だから1時間もあれば読めてしまうし、もちろん「全部」はわからない。とはいえイイタイコトが極限まで絞ってあり実にクレバーに整理してあるので、スコンッと頭に入っちゃうのである。

いままでこの手の本をいくつか読んだことがあったが、学術的すぎたり詳しすぎたりで、どこかボンヤリした部分が残ったものだ。わかったつもりになったというか。理解してもすぐ忘れちゃったというか。
でもこの本はもう最低限のことしか書いていない。最低限なんだけどココがちゃんとわかるとすべて理解できるという部分を短くわかりやすく書いてある。ここまで絞って整理してくれるとイヤでもわかっちゃうなぁ。もう忘れない気がするなぁ。下手に詳しいよりこういう方が結局役立つんだよなぁ。この著者、受験参考書とか書かせてもきっと名人だぞ。

もともと般若心経を覚えてしまうくらいは古寺仏閣少年だったボク。
仏像も大好きで、たとえば奈良法華寺の十一面観音なんかはアイドル視していてわざわざ何度も会いに行ったくらいなのだが(というか部屋に小さなポスター貼っていた:笑)、まぁなんと長いこと仏像のことを理解せずにいたことか。近場の鎌倉でも行って、もう一度いちからいろいろ見てみたい気分。この本と「仏像は当時のロックスターだ」という珠玉の切り口の「見仏記」あたりを娘に読ませて、一緒に古寺仏閣めぐりをしてみたいものだ。めっちゃ老人くさいけど。

2006年12月27日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:アート・舞台 , 哲学・精神世界 , 雑学・その他

LV4「死にたくないが、生きたくもない。」

小浜逸郎著/幻冬舎新書/720円

死にたくないが、生きたくもない。
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これからの老人は引退しても大変だ。やれ経済活動に貢献せよ、やれ生涯現役でいよ、やれ長生きせよ、とか喧しい。世に健康法溢れ、いじましい「若さ礼賛」が横行している。というか、老人自身が自分を老人と認めない。あたかも「老いることは悪」であるがの如く。

そんな日本の風潮に一石投じる本である。題名がいい。まだ40代中盤のボクではあるが、なんだかわかるなぁ、と思ってしまう。長い老いへの過程のさまざまな問題点をリアルにかつ哲学的に論じながら、著者は「そうまでして生きたい?」と問いかける。長生きは素晴らしいって偽善だろ、アンチエイジングってみっともないぜ、悠々自適って本当に素晴らしいのか、など、いろんな問題提起もしてくれる。その上で「老いることの利点」にも言及していく。

まぁある意味哲学書なので「結論を言い切った本」ではない。問題提起され、一緒に考えていく本である。その点少し物足りない人もいるかもしれないが、新しい視点はしっかり与えてくれる。また、中年世代的には「老いをリアルに想像してみる」いい訓練になる本かもしれない。

2006年12月25日(月) 12:18:41・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV5「14歳からの哲学」

池田晶子著/トランスビュー/1200円

14歳からの哲学―考えるための教科書
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副題が「考えるための教科書」。
池田晶子が14歳のために「考えるとは」「言葉とは」「自分とは」「死とは」「他人とは」などを対話体で一緒に考えていってくれている本。
かといって14歳を子供扱いしていない。というか充分大人向け。14歳からの、という題名のニュアンスには「14歳のころにちゃんと考えてこなかった人たちへ」という感じも含まれている気がするくらい大人向け。すべて一度はきちんと考えないといけない命題ゆえ、なんとなくここまで生きてきちゃった大人も必読だ。全体に、答えを提示するのではなく一緒に考えるカタチをとっているから思考訓練にもなる。まぁ考えること自体が哲学だから当たり前といえば当たり前だが。

第三章では「17歳からの哲学」と題してより深い問題に取り組んでいる。最後の方の「人生の意味とは」など、42歳のボクにとっても非常に刺激的な思考展開で、そこに美すら感じる。極上の音楽を聴いているような陶酔すら感じる。なんつうか、本当の意味の「説教」をされて、肌から垢がはらはらと落ちていくような爽快感。

悩み深いけど、悩みの方向性が漠然としていてわからない、みたいなわけわからないあの頃、14歳。ボクが14歳だったころ、この本があったら世界はずっとクリアだっただろうなと思う反面、こういう風に整理して説かれてしまうとあのドロドロ悩んだ自分はなかったわけでそれはそれで自分ではないのではないかという思い、そして、実際に14歳の時に読んだらわりと反発したかもという思いもある。ま、とにかく、14歳以上のすべての人間、必読。小さな思い悩みや自殺願望など、この一冊で吹き飛ぶだろう。だって生きていることそれ自体奇跡に近いことなのだから。

2003年11月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV0「愛という試練 マイナスのナルシスの告白」

中島義道著/紀伊国屋書店/1400円

愛という試練
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冒頭を少しだけ引用しよう。
「はじめから告白するが、『ひとを愛する』とはどういうことか、私にはよくわからない。私もいままでの人生で多少の男女を愛してきた(と思う)が、それがいかなる種類の愛に属するのかよくわからない。というより、さらに私は懐疑的であり、私ははたしてひとを愛することができるのか、私が愛だと思ってきたもの、体験してきたものは、じつは愛ではなく愛に似たほかの何かではないのか、という疑いを消すことができない」「これは抽象的な懐疑ではない。自分の中の深いところに巣くっている『自己愛』のおぞましさに悲鳴を上げているからである」

さて、この後、240ページに渡って、えげつないまでの私事の露出と内省と自慢と後悔と分析が続く。
著者がある種独特の哲学者であり、そこが好きで著作をかなり読んでいるボクではあるのだが、こういう「ゲロ」をヒトに見せるのはやっぱりどうかと思う。冒頭の自己分析は大いに共感できる部分もあり、ヒトが「愛」と呼ぶもののほとんどは「自己愛」だとボクも思ってはいるが、そこから深い精神的旅路が始まるのかと期待して買って、ゲロを見せられるのはたまらない。
表現とは、自分の中から出てくる吐瀉物を何かに昇華させて、ヒトが見るに足るものに変える作業をいうのではないのだろうか、などとちょっと思った。偉そうで申し訳ないのだけど。

2003年9月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV5「私の遺言」

佐藤愛子著/文藝春秋/1238円

私の遺言
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この本で作家佐藤愛子が作家生命をかけて遺言していることが本当であるならば、ボクも彼女と同じように人生観を変えなければならない。
つまりはそういう本だ。彼女は作家生命をかけて「死後の世界はある」と断言している。彼女の長年に渡る実体験を根拠にしているだけに説得力はある。この、北海道の別荘での霊的実体験は著者の他の本でも読んだことがあり、どこかでこれらについて著者が答えを出してくるとは思っていたが、最後の言葉としてこう押し出してくるとはよっぽどの覚悟だったと思われる。科学偏重の世の中に、名のある作家がこう押し出すのはそれなりに勇気のいることだし。

ボクには、シャーリー・マクレーンから入りシルバー・バーチ、ホワイト・イーグル、エドガー・ケーシーその他、当時出ていたたいていの心霊世界本を読了している過去がある。サイババ系ももちろん漁った。そういう死後の世界と現世の意味について完璧に信じ切っていた時期を過ぎ、その後反動のようにそれらを徹底的に疑い、今はどちらかというと「やっぱないかも」という方に傾いている。そこらへんは自分の中でかなり検証してきた。
そんな今読んだこの本は、忘れかけた揺さぶりをボクの精神にかける。佐藤愛子がその存在をかけて主張するように死後の世界が存在し、現世の意味がそういうことだとするならば、ボクの生きる意味もまた少し違った意味を帯びてくる。うーむ。

さすがの著者も目を曇らせているのかな?な記述が、実は多々出てくる。招霊会の模様などさすがにちょっとそれはないだろうという感じ。なんでキツネの霊がついたからってキツネの格好になるんじゃい、など。ただ、それらを差し引いても著者の身の回りに起こった出来事がウソとは思えない。うーん、どうなんだろう。

著者が佐藤愛子でなければまさに眉に唾な本だ。あの佐藤愛子が書いたからこそ、変な記述がいろいろあってもどこかで「本当かも」と思わせる。そう言う意味では著者にしか書けなかった本ではある。

2003年1月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV2「ダライ・ラマ自伝」

ダライ・ラマ著/山際素男訳/文春文庫/552円

ダライ・ラマ自伝
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さて、ダライ・ラマが書いたものに対して、ボクが好き嫌いを言うことが許されるのかどうか。彼の深遠も深淵も神園もなにも理解していない(であろう)このボクが。 これって例えば聖書に好き嫌いを言うようなことなのかも、ってちょっと思ったり。

でもまぁ正直に言おう。
彼の半生を彼とともに追っていく旅は面白かった。チベットの姿にも触れられたし彼がどう世界を見ていたかもよくわかる。が、ボクは「自伝」という題名からもっと深い思想みたいなものに触れられると期待していた。それはこの本からは見つけられなかった。そういうことだ。淡々と半生を語っていくその淡々さこそ彼の深遠さかもしれないが、そのわりには精神論や祈りもたまに語る。そこらへんはちょっと中途半端な感じなのだ。
ダライ・ラマ関係の書物は3冊くらいしか読んでないが、外から語る彼の実際の方が、読み物としては面白い。史実・史料としてはもちろん貴重。

2002年8月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:自伝・評伝 , 哲学・精神世界

LV5「クレイジーな人たちへ アップル宣言」

三五館/1000円

アップル宣言―クレイジーな人たちへ
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ま、読むだけなら1分で読める本だな。アップル(Macintosh)の「Think different」のCMを再構成して写真とともに言葉を並べただけの本なのである。
写真は世界のクレイジーな人たちのスナップ。アインシュタインに始まり、エジソン、レノン、フラー、アリ、ピカソまで17名。それらの肖像に実際のCMのコピーがつけられているだけの本なのだ。98年発売の古い本。友達に教えられるまでこの本の存在を知らなかったボクだが、いまではボクの座右に置かれることになった。

「クレイジーな人たちを讃えよう」という言葉で始まる20ページにも満たないこの本は、前向きな刺激に満ちている。
世界は変えられると信じているクレイジーな人たちの仲間になぜボクは入ろうとしないのか。おさまりがちな日常におさまって、志半ばで諦めてしまったいろいろな関心事を、自分の身近に再度呼び寄せる力がこの本にはある。それだけでも買いである。1000円は決して高くない。

2002年5月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:写真集・イラスト集 , 哲学・精神世界

LV5「新・トンデモ超常現象56の真相」

皆神龍太郎・志水一夫・加門正一著/太田出版/1480円

新・トンデモ超常現象56の真相
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正式には「と学会」の出版物ではないのかな。まぁ著者のうちふたりが「と学会」であるし、題名もトンデモが入っているからそう取ってもいいだろう。トンデモ本のファンであるボクとしては不覚であるが、この本の前に「トンデモ超常現象99の真相」という本が出ていたらしい。その続編にあたる本書だが、続編でもこんなにオモシロイ。

「と学会」のイイタイコトはひとつである。「メディアを信じるな!」である。活字もTVも絶対信じるな、である。それらは我々を愚弄している。その証拠上げがこの本のようなシリーズなのだ。
なにしろTVのバラエティ番組のウソのつきかたは尋常ではない。視聴者をバカにしているどころの騒ぎではない。「ここまでウソついて何のおとがめもないの?ウソでしょ?」の連続だ。超有名な霊能者(クロワゼットやカスタネダら)の経歴の真っ赤なウソさ加減も絶句もの。どうしてこうぬけぬけとウソがつけるのだろう? UFOや宜保愛子の大ウソ、涙を流すマリア像や新しいところでは岐阜県富加町のポルターガイスト事件への疑問まで非常にクリアに晒してくれる。

ある意味大変な労作であるが(資料の裏取りとか)、この本が言うように活字を信じるなであれば、この本の内容も疑ってかかるべきであり、一概にすべてを信じるわけにはいかない。ただ、何事も疑ってかかる、という知性的な習慣をつけるいいキッカケになるという意味では大オススメである。

2001年11月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:雑学・その他 , 科学 , 哲学・精神世界

LV3「REMARK」

池田晶子著/双葉社/1600円

REMARK―01OCT.1997~28JAN.2000
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不思議な本である。
いや、本というよりノート、か。単行本の体裁はとっているが、ここに読者とのコミュニケーションは計られていない。徹底的に一方通行。徹底的に読者に不親切。脈絡がありそうでない、なさそうである、言葉の羅列。ノートそのまま横組みで、日付だけが著者の思考の流れの前後を示す。そう、これは著者の日々の哲学メモをそのまま本にしたものなのだ。

いや、徹底的に不親切、というのは違うかな。ちゃんと読者に思考の流れを示している。逆にわかりやすいくらいではある。図解もあったりして、おっ!と真理に触れた気がすることも多々。
でも、それでも、この哲学メモを毎晩ひもとき、著者の思考の流れに忠実に頭を働かせるのはわりと大変だった。普段から考え続けている人には説明の言葉がない分より直接心に届くのだろうが、夜中に会社から帰ってきて、さてとばかり「削ぎ落とされたイケダアキコする」のは、切り替え的に無理があった。

これは3ヶ月くらい海か山に籠もる環境があるときに持って行くべき本かもしれない。ま、上級者向けのハイブロウ本ってことですね。ボクはまだ中級者以下なので、この本の快感に触れることが出来なかった。そういうこと。会社辞めて隠居したころ、じっくり再取り組みするとしよう。

2001年5月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV4「オン!」

池田晶子著/講談社/1800円

オン!―埴谷雄高との形而上対話
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1995年発売。
埴谷雄高と池田晶子の対話を中心に、著者の処女作である「埴谷論」やもっとエッセイっぽい埴谷論などが混ざり、埴谷を知る者も知らない者も知っててわからない者(ボク)も、それなりのレベルで楽しめる本。

哲学書だけど、わりと楽しかった。普段舌鋒鋭いあのイケダアキコが妙に初々しかったり、あのハニヤユタカが理解者を得てウキウキ話すのも面白いし(埴谷はある種の恋を著者にしている)、読者に理解させることを前提としていないその対話はめちゃめちゃ難しい部分も多くてこれまたある種自虐的楽しさがあったりして・・・多忙すぎた春の夜を締めるにはわりと最適な本ではあったのでした(つまり知的興奮と睡眠誘導がバランスよく行われた)。

「死霊」は未読、積ん読、飾っ読。わからないなりにも「死霊」をある程度囓ってから読んだ方がこの本の凄さはより体感できるのだろうが、このたった250ページ弱のオムニバス本を読むだけで2週間かかってしまったのだ、「死霊」に至ると一生仕事であろう。でも、結局「存在」について考えることに至るなら、それでもいいということか。

「オン」とはギリシャ語で「存在」のことらしい。この勢いをかって久しぶりに著者の「メタフィジカ!」も読み直してみようかな。あ、新刊「リマーク」も未読だった。と思ったら他にも新刊が出るらしい。うーむ、池田晶子漬け。なんか読むのに時間かかるからしょっちゅう池田晶子ばかり読んでいる気になってしまうよ。主題はひとつなのにね。

2001年4月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界 , 対談

LV5「ベロニカは死ぬことにした」

パウロ・コエーリョ著/江口研一訳/角川書店/1600円

ベロニカは死ぬことにした
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生きる意欲をなくして自殺しようとした若い女性が、助けられた病院で「薬の飲み過ぎで心臓が弱っているからあと1週間しか生きられない」と宣告される。そしていろいろあって「生への意欲」「生きる喜び」を理解しだす…

みたいな、なんつうかありがちな物語なんだけど、中後半に見逃せない美しさが漂っていてとても印象が強かった。
その病院は精神病院なのだけど、そこに出てくる患者たち数人の人生模様描写が、主人公の描写を上回る勢いでよく描けていたりする。オチは「ああ、やっぱりね」的すぎるのだが、オチとか筋に関係ないところに主題があるのであまり気にならない。つうか小説というよりは研究書的記述もいろいろあったりして、なんだかそこらへんの境界があまりない感じの本でもある。

パウロ・コエーリョは初読だが、なかなか味がある。ちょっと「精神世界の本」的あやしさがありすぎる気もするが、他の本も読んでみたくなる感じ。

2001年3月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外) , 哲学・精神世界

LV5「誰も教えてくれない聖書の読み方」

ケン・スミス著/山形浩生訳/晶文社/1800円

誰も教えてくれない聖書の読み方
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実に面白い。
聖書がいままでいかに都合の良い部分だけ取り出されて脚色ふんだんな読み方をされてきたか、がまったくよくわかる。いろんな脚色をゼロにして「聖書原典を書かれているとおりに読んでみるとどうなるか」がこの本で明らかになるのだ。こ、こんなトンデモ本を西洋は長きにわたり繰り返し読み信じてきたのか! 神様ってこんなに残虐非道で心根の狭い自意識過剰オヤジだったのか! イエスやパウロってこんなイカサマっぽい奴らだったのか! き、教会の神父って本当に最初から最後まで聖書を読んだことあるのか? き、キリスト教って…ダイジョブなのか? など、ちょっと愕然とする思いだ。

当然キリスト教徒たちから轟々たる非難がまきおこってるらしいが、著者はシラッと「だって聖書にそのとおりに書いてあるんだもん」と自信たっぷりに言うだけらしい。
そう、著者はただ現代風視点から読み進めただけなのだ。なるほどー。ボクは「マンガ聖書」は読み通したことがあり筋はだいたいわかっているつもりであったが、いま思うとキリスト教に都合のいい部分だけ抜き出したまとめ方だったのね、あれ。

この本をよりユニークにしているのは「アイコン」の存在。
例えば出エジプト記のこんな場面。「神さまはモーゼに、神の祭壇には絶対に階段をつくるなと命令。階段をのぼってる人の性器が見えちゃうかもしれないから」てなところには「なんじゃそりゃ?」アイコンがついてたりするのだ。他に「残念でした」とか「おいおい」とか「おせっくす」とか(旧約はセックス描写だらけ)、いろいろついていて面白い。

ちなみに訳もよい。著者の言い逃げ感がよく出ていて良い。あ、ちなみに聖書を最初から最後まで読まされちゃう本ではないです。聖書のトンデモナイ部分を抜き出してあるからとっても読みやすい。その点は大丈夫。オススメ。

2001年3月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界 , 雑学・その他 , ノンフィクション

LV5「考える日々 III」

池田晶子著/毎日新聞社/1600円

考える日々〈3〉
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本当は、池田晶子の本を読んでいること自体、恥ずかしいことなのだ。
自分でとことん考えることもせず、著者に「考えるキッカケ」をもらおうと読んでしまう根本的な矛盾(なぜって著者がイイタイコトは「考えよ!」ということだから)。どこかでそれに羞恥心を感じつつ、今回もたいへん考えさせてもらった。ありがとう。

サンデー毎日に連載しているコラムを集めた第三集。副題が英語でこっそり書いてある。「One Size Fits All」。うーん、なるほど…。テーマは多岐に渡っていてそれぞれ通り過ぎる足を止めてくれる力を持つが、今回は「心で感じる仮想と現実」「死の向こうの存在と宇宙」の項が個人的に特に印象深かった。

本当のところ、「善く生きる」ためにはこういった本から浸みだしてくるテーマに真っ向から闘いを挑まないといけないのである。他のことをしているヒマはないのである。それこそ生きている意味なのである。なのになのに・・・。ま、そういうことを忙しく走る日々の中で思い出すために、これからも定期的に池田晶子を読み続けることであろう。それって本当に恥ずかしいことなのだ。わかってはいるのだ。うぅ。

2001年2月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV5「死と生きる ~獄中哲学対話」

池田晶子・陸田真志著/新潮社/1500円

死と生きる―獄中哲学対話
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ず~いぶん前から気になっていた本で、1999年の2月に出た既刊。「とてもいいよ」「ぜひ読んで」というメールをいっぱいいただいていたが、本屋で見つけることがなく、なんとなくいままでダラダラと気になっていた。そしたら20世紀最後の月に小さな本屋でばったり遭遇。喜び勇んで購入しその晩から腰をすえて読み始めた。

1行1行立ち止まって考えつつ読まなければ進めない本だ。だから結局2週間以上かかってしまった。今月読書数が少ないのはこの本のせい。でもそれだけの価値はある。
死刑囚と池田晶子の哲学往復書簡なのだが、これがまた生半可でない一騎打ち。ドキドキもの。常に「考えよ!」とボクのお尻を叩いてくれる池田晶子も相変わらずスゴイが、死刑囚陸田真志の言葉がまた平明でとても良い。彼の言葉でやっといままで池田晶子が言っていた意味がわかったこともしばしば。例示も巧みだし。

彼らの言葉をなぞりながら、自分の心と必死に対話する。考えるキッカケとしてこの本は優れている。明日事故で死ぬかもしれないボクもまた、時間は限られている。考えよ、考えよ。考えるほどに、いまの仕事や生活の矛盾点が出てきてしまいそこでヤバくなって考えるのを止めてしまうのだが、それでも考えよ。なぜヤバいと思うのか考えよ…と、無限に「考えの湿原」を歩いていきたくなる好著。続編は出ないのかなぁ。

2001年1月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV3「私の嫌いな10の言葉」

中島義道著/新潮社/1200円

私の嫌いな10の言葉
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池田晶子と中島義道の本は目につけば買うようにしている。この「戦う哲学者」である著者の本はこれで5冊目かな。「孤独について」「うるさい日本の私」などカラミ系の本が印象深い。

この本は彼の嫌いな言葉を10あげて、どこが間違っていてどう嫌いなのか、を詳細に論じた本。
その言葉とは「相手の気持ちを考えろよ!」「ひとりで生きてるんじゃないからな!」「おまえのためを思って言ってるんだぞ!」などなど、人が日常な~んの考えもなく発している偽善かつ欺瞞かつ傲慢な言葉の数々だ。

言葉の選び方と嫌いな理由には、ほぼすべてに深い共感。
ボクも「相手の気持ちになれ」みたいな言葉の欺瞞加減がイヤでイヤでたまらなかったので、深く頷くばかり。ただ、全体に文章が軽くてワイドショーみたいなのが難。言っていることはいいんだけど、話が横道に逸れた途端、いきなり駄文体になってしまうのはナゼ? なんだか言っている筋がよくわからなくなる。急に個人攻撃したり中野翠を激賞したり。簡潔に深く、例示も的確にそれらの言葉を語ってくれたら、ひょっとしたら名著になったかもしれないのに。言いたいことが頭の中に充満しちゃって結局なに言っているかわからなくなる人っているけど、この本、ちょっとそんな感じにもなってしまっているのだ。「うるさい日本の私」以降、本を出せば出すほどそんな感が深くなる著者。うーむ。次作はどうしよう。

2001年1月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV3「人間の行方」

多田富雄・山折哲雄著/文春ネスコ/1600円

人間の行方―二十世紀の一生、二十一世紀の一生
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副題が「二十世紀の一生、二十一世紀の一生」。
なんかPHP出版が出しそうな本である。著名な科学者と著名な宗教学者がそれぞれの立場に固執しないで腹を割って話し合った、ある種の人生論。実際含蓄に富んでいる。科学と宗教という思いっきり反対の立場にたつ識者同士だから物事の見方が多角的になり、読者にあらぬ方向の思考を強いてくれる。人生や人間や生き方を考えるいいきっかけにはなるだろう。

ただ、老練な識者同士だからこその曖昧さはある。いろいろ問題が複雑に絡み合っているとわかっている同士だからこそ、ちょっと言葉を濁しがちになってしまうのだろう。命題が無難な方向に収束してしまったり、答えを明確に出さなかったりするのは少し残念。ま、答えが出ようがない命題が多いから仕方ないのだけど。
でも、読者は彼らの「偏見」を読みたいし、彼らの「敵対論争」も読みたいのだ。いたずらにスキャンダラスにしろ、というのではなく、ある強い偏見こそ刺激的な「考えるヒント」になると思うからである。

ある書評でベタ誉めしてあったからかなり期待をして読んだが、ちょっぴり期待はずれかな。こういう議論をとっくの昔にふまえている秀逸SFとかが多いせいもあるかも。

2000年8月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界 , 対談

LV5「虫の目で人の世を見る」

池田清彦著/平凡社新書/720円

虫の目で人の世を見る―構造主義生物学外伝
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副題が「構造主義生物学外伝」。難しそうだし題名的にも哲学的だが、内容は全然そんなことはない。

以前「昆虫のパンセ」という著者の本を読んだことがあるが(いま再読中)、この本はその時の印象よりかなり軽妙。非常に程のよいエッセイ集になっている。いいなぁ、こういう感じのエッセイ。新しい視点・経験を与えてくれつつ、お気楽・適当に読み飛ばせる。そして読後には世の中が読む前よりほんの少しだけ豊かに見えてくる…。簡単そうに見えて、こういうエッセイは実は難しいのである。
で、さりげなく「イイタイコト」を混ぜ込んである。「客観は普遍ならず。主観の中にこそ普遍はある」…。なるほど。確かに虫やら猫やらに人間の客観(例えば科学・数学)は通じない。つまり客観が普遍だというのは人間の大いなる傲慢なのであるか。なるほどなるほど。

虫屋という言葉があるのは知っていたが、それにしてもすごい世界だなぁ。その昔(小学生低学年)、昆虫博士と友達から呼ばれていたボクであるが(ホント)、あの世界を年寄りになるまで引きずって歩いている人がいっぱいいるのだねぇ。はっきり言って素晴らしいと感嘆しつつ読み進んだのでありました。なお、終盤は河童の話になるが、これは洒落っぽくクソ真面目に書いてある。

2000年7月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:エッセイ , 科学 , 哲学・精神世界

LV2「ぼくの哲学日記」

森本哲郎著/集英社/1575円

ぼくの哲学日記
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ボクにとって森本哲郎は青春である。って、変な青春ではあるが、著者の「ことばへの旅」「ゆたかさへの旅」「生きがいへの旅」などの一連の著作は中学生だったボクの生きる指針だったりしたのだった。これぞ熟読!って感じでしたね。再読もしつこく重ねたし。特に「ことばへの旅」シリーズで出てくることば達はボクの中で熟成発酵して、いまのボクを形作っていると言っても過言ではない。

その著者の最新作。
相変わらずの森本哲郎節は衰えず、たいへん懐かしく読んだ。でもさ「相変わらずすぎる」感はある。70歳を越えて著者はどう変わっていったのか、が読みたい。万年哲学青年っぽい感じは嫌いではないが(はっきり言って好ましいが)、昔熟読した人間にとっては「えー、またそれー!」って感じなのだ。仕方ないし、それも「芸風」ではあるのだけれど。

1999年10月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV3「靖国」

坪内祐三著/新潮社/1700円

靖国
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あなたは靖国神社についてどのくらい知っているだろうか? 靖国神社公式参拝の是非について騒ぐ大新聞の記事についてどういう意見を持っているだろうか? そもそも靖国神社ってなんなのだ?・・・そういう質問に「そういえばちょっと知ってみたい」と思った方は是非ともどうぞ。

読み物的な面白さは思ったよりなかったが、知的好奇心は十二分に満足させてくれる好著。
「え?靖国神社って超モダンでハイカラな祝祭空間だったの?」と次々目から鱗が剥がれていくこと請け合いだ。例えば神社でありながら神主がいなかったことなんて知っていた?

総花的評論になりがちな題材を一貫した視点から書いているのがうまい。「靖国的なものの消滅」についての著者の姿勢が一貫しているのもいい。上手だしなんだか古くさい名前なのでかなりのお年かと思ったら、この著者ボクと3つ上なだけの41歳。うーん。まいった。

1999年6月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:時事・政治・国際 , 哲学・精神世界

LV4「孤独について」

中島義道著/文春新書/660円

孤独について―生きるのが困難な人々へ
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副題は「生きるのが困難な人々へ」。

孤独を自分に課せられた重い荷物と取るのではなく、自分が積極的に選び取った大事な時間なのだととらえることによって得られる価値の転換について、著者自身の半生を赤裸々につづりながら説いている。いや「孤独」という言葉よりは「ジコチュー(自己中心主義)」という言葉の方が内容に近いかも。「孤独になる」=「なるべく他人のためにではなく自分のために時間を使うこと」と明記してあるくらいだし。

なにしろ著者は「うるさい日本の私」を書いた難物。一筋縄なる孤独論ではない。
もちろんお説教含みの「生き方指南本」ではないし、わけのわかったような「机上の哲学書」でもない。だから実際に苦しんでいる読者はかなり共感できると思う。今の生活に違和感を感じている人はすべからく読むべし。読んで損はしないと思う。ただし、後半は少々ヒステリック。

1999年1月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV3「うるさい日本の私、それから」

中島義道著/洋泉社/1600円

うるさい日本の私、それから
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97年1月に読んでとても気に入った「うるさい日本の私」の続編。

前著は、著者が無意味で無神経な「騒音」に戦いを挑んだ戦記であり、幼稚国家日本についての社会学的分析でもあるのだが、この本はそこからもう五歩くらい突っ込んで「私の敵は日本および日本人なのだ」と、一見めちゃくちゃな論が展開されていく。

その根底に流れるのは著者独自なる「個人主義」、そして既存の考え方に束縛されない自由なる「哲学の心」だ。
彼の真の自由は「孤独」にある。もう途中からこの本は著者の(孤独という自由ゆえの)ワガママ自慢みたいになっていき、「ついてこれないのならついてこなくていい」という突き放しまで出てきて、なんだか飲み屋の長時間説教みたいになっていくのだが、実はそのはちゃめちゃの根底に流れる精神にボクはわりと共感を覚える。説教しっぱなしではなくて一応改善策も最後に載せているところがまた微笑ましい。

前著を社会的提案の書と読んだ人はかなりとまどうだろう。でも、前著を「考えヒント」と見た人にはそんなに違和感がない続編である。

1998年12月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV2「アポトーシスとは何か」

田沼靖一著/講談社現代新書/650円

アポトーシスとは何か―死からはじまる生の科学
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副題は「死からはじまる生の科学」。
アポトーシスという言葉はなんとなく聞いていたけど、友人の薦めでこうして読むまで意識して感じたことはなかった。生の中に死は含まれる、という命題で本を書く作家は多いが、実際に細胞レベルで生と死が共存しているとは驚きだ。

アポトーシスとは「細胞が積極的に死んで行くこと」。
自らの意思で死を選ぶ細胞がいるのだ。この本はその発見とそれによる癌・AIDS・アルツハイマー治療最前線の話とともに、生(性)と死の哲学が語られている。難しいが興味深い本だ。特に興味深いのは第8章「死から生をとらえなおす」。死をちょっと違う観点から捉え直し、それによって生を考えるきっかけを与えてくれる。

1998年11月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界 , 健康 , 科学

LV1「ミジンコ道楽」

坂田明著/講談社/1500円

ミジンコ道楽―その哲学と実践
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副題は「その哲学と実践」。
ミジンコに魅入られて果てはモンゴル、ヒマラヤまで行ってしまったミュージシャン坂田明のお話。
題材よし。哲学よし。実践も良し。だけどあとは全部もうひとつだった。「である」と「ですます」が混在する文体は読みにくくって閉口したし、随所にちりばめたつもりのギャグも空振りが多い。ボクは著者の演奏は生で何回も見ているしお人柄も非常に好きだ。だが、演奏に見られる常識にとらわれない縦横無尽さが文にはなく、本人の魅力もイマイチ紙に定着していない。なんだかもったいなかったのである。

1997年12月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:雑学・その他 , 科学 , 哲学・精神世界

LV5「睥睨するヘーゲル」

池田晶子著/講談社/1500円

睥睨するヘーゲル
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哲学の本というより「考える」本である。
この本を読んでボク自身つねづねいろんなことを「考えていたつもり」だったけど、それは単に「思っていたに過ぎない」ことに気付かされた。そういう意味でこれはモグラの目すら開かせる名著であるとボクは思う。

ただ、読んで気が付いて目が開くこと自体もうあなたは「考える人」の資格すらない、と著者は切り捨てている。
池田晶子のそこらへんが好きなんですよ、ボクは。エッセイ集なのでまとまりに欠けるのはしょうがないが、「メタフィジカ」「悪妻に訊け」などの著作より著者の素直な切り口が出てきていて、池田ファンは必読。まだ池田晶子を知らない人はこの本からどうぞ。

1997年4月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV5「そば打ちの哲学」

石川文康著/ちくま新書/680円

そば打ちの哲学
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趣味で蕎麦を打ち初めて半年になるけど、どんな本を読んでも越えられなかった「畳んだら折り目で切れちゃう」問題をこの本は明解に解決してくれた。

そういう意味では実用書でもあるが、あくまでもこの本は哲学書。
哲学読みには中途半端かもしれないが、ボクにはちょうど良かった。大学の教授である著者も趣味で蕎麦を打っているわけだが、哲学者というスタンスを見事に蕎麦打ちに取り入れており、まさに「哲学とは‘哲学すること’である」を実践している。
蕎麦を入り口に古今の哲学に言及し蕎麦を出口として人間の欲望に迫る。その筆、平明にして深遠。蕎麦を打つ人も打たない人もぜひ触れてみて欲しい個性的名著。

1997年3月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界 , 食・酒 , 実用・ホビー

LV4「証言・臨死体験」

立花隆著/文藝春秋/1700円

証言・臨死体験
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前著である力作「臨死体験」で世界中の文献を元に臨死体験を検証(臨死体験とは何かを分析)した著者が、今度は前著で中途半端になった具体的体験事例の紹介をこの本で思う存分やっている。日本人の例ばかり、それも有名人が多いのでわりと感情移入でき大変心を動かされるインタビュー集だ。前著では結局著者は来世というものに否定的な態度をとったが、この本では少々それも揺らいでいるように見える。なぜなら木内鶴彦(天文学者)のような強烈な例があるからだ。いや、マジであのタイムスリップ体験談はインパクトある。体験は強い。検証を越える。興味がある人は必読。

1997年1月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界 , ノンフィクション

LV5「うるさい日本の私」

中島義道著/洋泉社/1700円

うるさい日本の私―「音漬け社会」との果てしなき戦い
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副題は「音漬け社会との果てしなき戦い」。
電気通信大の教授が無意味で無神経な「騒音」に戦いを挑んだ戦記であり、幼稚国家日本についての社会学的分析でもある。

ここでいう「騒音」とはあの電車やバスや横断歩道や商店街に氾濫するアナウンスの嵐のこと。著者はこれら自立精神を阻害する「騒音」に唖然とするほど決然と抗議していく。そういう行動の結果浮かび上がるのは日本という国の幼稚さ、独り立ちしていなさ、管理されたさであり、そしてまた驚異的なる甘えの構造なのである。

少々コワイオジサンではあるが、言っていることはまったく膝を打つ論理展開で納得のいくことばかり。‘平明に見る目’と‘決然と語る口’をしっかり持って生きていこうと思わせる、これは人生論の書なのです。ちなみに「自分がされて嫌なことを他人にはするな」というごく一般的しつけすら甘えの構造なのだとこの本は気付かせてくれた。子供を持つ親としてはたいへん感謝している。

1997年1月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

LV4「悪妻に訊け」

池田晶子著/新潮社

悪妻に訊け―帰ってきたソクラテス
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同年代の美人哲学者・池田晶子の新作。
ソクラテスとその名高い悪妻クサンチッペの対談の形を取っており「帰ってきたソクラテス」の続編となっている。オームから大震災、マディソン郡など身近な話題から見事に「哲学」していて分かりやすく楽しい。「ソフィーの世界」の数倍哲学がわかること請け合い。

著者のものは「事象そのものへ!」しか読んでいないが、哲学をきちんとエンターテイメントしている点が素晴らしい。平明なその視点は信頼に値する。

1996年9月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:哲学・精神世界

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