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ファンタジー(25)

LV4「しゃばけ」

畠中恵著/新潮文庫/540円

しゃばけ (新潮文庫)
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江戸時代の江戸を舞台にした妖怪推理時代小説。
妖怪がたくさん出てくるので荒唐無稽ファンタジーかと思いきや、読み進むうちに違和感も消え、わりと普通の時代小説に読めてくるから不思議。著者の筆力だろう。

廻船問屋と薬種問屋を営む大店の一人息子・一太郎は幼い頃からずっと周りに妖怪をはべらせる特殊体質。とはいえ身体は弱く、妖怪に守られているといった風情。そこに事件が持ち上がって…。といった導入なのだが、推理小説としては弱いものの(なんたって特殊能力がある妖怪たちが活躍するから)どこか落語人情話を思わせるような文章リズムも心地よく、最後まで飽きずに読ませる。多少、妖怪の気持ちが見えないところがあり(特に味方妖怪)その辺にカタルシスがあればより良くなったとも思うが、そこもまたミステリアスでいい、と取ることも出来る。また、もうちょっと妖怪の特殊能力に頼ったストーリー展開をすればエンタメとして強くなるのに、それを敢えてしていないところも好感持てる。

これを第一作として、続編がいくつか出ている。ゆっくり読んでいきたい世界観だ。

2007年3月24日(土) 9:08:20・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー , 歴史小説 , ミステリー

LV5「夏化粧」

池上永一著/文藝春秋/1524円

夏化粧
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石垣島を舞台にしたSFファンタジー風純文学とでも言おうか。
著者の本は短編集を読んだことがあるが、ちょっと期待はずれだった。でもこの長編はとても良かった。読後もとても強い印象。いろんな場面が瑞々しく思い出される。

物語はRPG的である。
ある島の井戸の奥に「陽」の世界であるこの世と反対の「陰」の世界がある。光と闇が逆転するその世界で7つの他人の「願い」を集めて、息子をこの世に取り戻そうとするシングルマザーの闘いの物語なのだ。7つの願いを陰の世界で集める旅……こう書くとジュブナイル小説か?と敬遠する向きもあるだろうが、筆致も展開も大人っぽいので杞憂。他人の願いを集める、というのがミソで、様々な人生がそこに絡んでき、なかなかせつないのだ。そしてラストもかなりせつない。満足して読み終えられるだろう。

敢えて言うなら題名がイマイチかなぁ。題名をここまでウェットにしてしまうと、ファンタジー好き読者が手に取らない気がする。また、内容を正確に言い当てていない。題名だけ純文学している。もうちょっと違う題名にしたらヒット作になったのではないだろうか。

2003年6月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー

LV5ゲド戦記シリーズ「影との戦い」「こわれた腕輪」「さいはての島へ」「帰還」「アースシーの風」

ル=グウィン著/清水真砂子訳/ 岩波書店/順に1550円、1450円、1650円、1850円、1800円

ゲド戦記 全6冊セット
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もうとっくに完結したと思っていたゲド戦記シリーズに、続編&最終完結編が出るらしいと聞いたのは今年のいつだったか。

そう言われてみると確かに未完な謎がいくつもあり、最終話があって当たり前とは思うのだが、なんといってもシリーズ4作目の「帰還」の副題が「ゲド戦記最後の書」なんだもん。あれが最後なんだな、と、不思議に思わず満足していたよ。なんとその「帰還」から11年後の今年、5作目「アースシーの風」が突然出るなんて!!! うれしくて鼻血出そう。

まぁなんというか、人生がすべて詰まったようなシリーズだ。
とっくに筋の細かいところは忘れていたので、また一巻目から読み始めたのだが、あらためて舌巻いた。すごい。特にドラマチックな筋ではないのだが、味わい深いことと言ったら「十二国記」も「指輪物語」も越えるだろう。

好きなのはやっぱり「さいはての島へ」かな。
一巻目も好き。「こわれた腕輪」も味わい深い。ストーリーを追う若い読者にとっては、「帰還」以降のゲドが情けなさ過ぎて不満かもしれない。でもまぁ、ある程度歳とってくると理解できると思う。あそこからのゲドの深みが。ただ……そう言うボクも、最後の最後でゲドがもうひと活躍するのかと思っていたなぁ(ネタばれになるのでこれ以上書かないけど)。

でもシリーズの積もり積もった謎のほとんどが氷解する快感はあった。正直いうと、まだ謎がいくつか残されているんだけど、でもいいの。もともとなかったはずの一冊なんだから。
この「ゲド戦記」と「指輪物語」に、いまのすべてのRPGゲームの要素が入っているといっても過言ではない(あ、あと「ナルニア国物語」も入れたいところ)。ゲーム好きで本を読まない方々にも読んで欲しい傑作シリーズである。
※amazonへのリンクは「外伝」も入れたセットにしています。

2003年6月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー

LV3「HARRY POTTER and the Chamber of Secrets」

J.K.Rowling/Bloomsbury/£5.99

Harry Potter and the Chamber of Secrets (UK) (Paper) (2)
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原書読み。
シリーズ2巻目だが、この本が後回しになってしまっていた。現刊ハリー・ポッター・シリーズはこれで全部原書を読み終わったことになる。4巻目の「炎のゴブレット」の方がずっとずっと分厚いのに、この本の方が時間がかかってしまったな。面白さが一番劣るから、という理由が大きい。途中のダレ方がとてもつらかった。次は5巻が夏に出るのを待つばかり。ただ、噂では「炎のゴブレット」の倍近く長いらしい。分厚いと通勤で持っていくのにうざいし、ベッドで読むにも腕が疲れる。ちょっとイヤだなぁ。

2003年3月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー , 小説(海外)

LV5「HARRY POTTER and the Philosopher's Stone」

J.K.ROWLING著/BLOOMSBURY/£5.99

Harry Potter and the Philosopher's Stone (UK) (Paper) (1)
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原書読み。
3巻4巻と原書を読了したので、どうせなら全巻読了!と目標を立て、まずは第1巻。筋はよく了解しているし、第1巻のせいかわりと読みやすい英語だったのか、すぃすぃ読了。読み慣れてきたのかなともちょっと思うが、少し難しい文章になるとまるでわからないので、単に筋を知らなかった第4巻の苦労に比べて読みやすく感じたってだけのことのようだ。次は第2巻「秘密の部屋」。映画が来月公開されるヤツ。公開までには読めないだろうが、筋を良い具合に忘れているのでわりと勉強になるかも。

2002年12月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外) , ファンタジー , 児童・ティーンズ

LV5「HARRY POTTER and the Goblet of Fire」

J.K.ROWLING著/BLOOMSBURY/£6.99

Harry Potter and the Goblet of Fire (UK) (Paper) (4)
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原書読み。
これを原書で読み終わったときは充実感あったなぁ。なにしろ796ページ。英語的にもわりと難しく(ボクにとっては)、筋も知らない状態で読んだので、苦労が多かった。時間もかかった(1ヶ月半)。でも、日本語版が出版される前に読み終えたのはうれしかったぞ。なんだボクもわりと根気あんじゃんと自覚できた意味で、思い出深い一冊になった模様。

内容的にはかなり高度で 子ども向きっぽさもほとんどなく、大人でも楽しめる。ラストなどとっても怖く、子どもによっては読み進められないのではないかな。シリーズ最高作といわれるのもわかる。とはいえ、クディッチのワールドカップや三校対抗戦がそれほど面白い物なのかという根本的な疑問が最後までつきまとったのが残念。日本語版もそのうち買って、ちゃんと読んでみようとは思うが…なんというか再読欲は起こらない本だな。

2002年11月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外) , ファンタジー , 児童・ティーンズ

LV4「HARRY POTTER AND THE PRISONER OF AZKABAN」

J.K.ROWLING著/SCHOLASTIC/$7.99

Harry Potter and the Prisoner of Azkaban (US) (Paper) (3)
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ハリーポッターの第三巻、原書で読み下し。
英語力ないため不完全だが、とにかく読み下したという記録にここに載せておこう。これがあったがために日本語の本は冊数がはかどっていない部分もあるし。
この原書はUS版のようだ。意識せず買ったのだが、UK版とは単語や表現が少し違うらしい。ま、確かにUSとUKでは例えば同じゴミでもUSでは「trash」、UKでは「rubbish」のように、少しずつ違うよね。
原書を読んで思うのは、 日本語版で読んだ感じよりオドロオドロな単語が多かったこと。そしてリズムが非常に良い。わからないところなど、たまに日本語版と読み比べもしたが、邦訳は非常に苦労の後が見えるものの、ちょっとリズムが悪いなぁと感じるところが多かった。
ということで、いまは第四巻に挑戦中。700ページ超なので10月いっぱいでは無理だなぁ。11月にはなんとかしたい。 (邦訳は10/23に発売になる)

2002年10月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外) , ファンタジー , 児童・ティーンズ

LV3「六番目の小夜子」

恩田陸著/新潮文庫/514円

六番目の小夜子
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著者の処女作で、あとがきによると「最初に勤めていた会社を辞めて、三週間くらいで書いたこの小説が第三回ファンタジーノベル大賞の候補になり、酷評されてあっさり落選し、文庫として世に出たもののすぐ絶版になった」らしい。
で、大幅に加筆修正して再版したものがこれである。NHKでドラマ化され人気を博したのも記憶に新しい(あれは脚本の宮村優子が大幅に書き直したらしいが)。

酷評された理由も読めばわかる気がするが、要所要所が妙に印象的な本で、全体の筋は忘れても細部がやけに記憶に残る。そういう意味ではとても力がある小説だと思う。キャラがしっかり立っていて、作者はそれを良い勢いを持って書いているから、全体にドライブ感が生まれている。
でもまぁ、ジュブナイルノベル的かな。ボクは嫌いではなく、それなりに楽しんだけど、ミステリー好きが読むとちょいとつらいかもしれない。そんな感じ。

2002年9月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー , 児童・ティーンズ

LV5「トリツカレ男」

いしいしんじ著/ビリケン出版/1300円

トリツカレ男
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以前、町田康とこの著者の共著「人生を救え!」を読んだのだが、いしいしんじについてはまるで知らなかったし、彼が書いた部分は面白く感じなかったと書いた。ら、著者の兄の友達という方から「トリツカレ男」は面白いらしいですというメールが来た。んでもってbk1に注文して買ったのである。結果的には買って良かった。ええ、面白かったです。

なんか原田宗典の名作「スメル男」を思い出させる題名で、似たような展開を想像していたのだがずいぶん違った。
なんというか童話的であった。ジュゼッペとしゃべるハツカネズミとペチカという女の子が主な登場人物だったりするのだ。いろんなものにどうしようもなくとりつかれてしまう男ジュゼッペ。一度とりつかれたら世界記録が出るくらいそればかりやり続ける。そんな彼がはじめて女の子にとりつかれた(つまり、恋)。彼女にとりつかれたジュゼッペは、どうするか。え?ストーカー? いやいや、そんなありがちなことではない。本当にヒトにとりつかれる(恋する)とはどういうことか。それが後半のストーリーである。

あっという間に読める童話的小説だが、設定も結末もなかなかよく、気に入った。ちょいと温かい気持ちになりたい夜にオススメ。

2002年5月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー

LV2「ギグラーがやってきた!」

ロディー・ドイル著/ブライアン・アジャール絵/伊藤菜摘子訳/偕成社/1000円

ギグラーがやってきた!
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愛読している書評サイト「なまもの!」(←ダジャレたれ流しギャグ系裏日記がまた抜群)でガンガンに薦められていた童話。
その薦められ方がガンガンだったせいもあり、期待に胸膨らましすぎてしまったというのが実際のところかも。充分愉快で奇想天外で印象的な本だが、おかしみの方向性や、読者(子供)イジリの仕方がボクの好みと少しずつズレている感じ。ハマる人にはハマるかもしれない。

英国でもっとも権威のある文学賞ブッカー賞を受賞した作家ロディー・ドイルのはじめての童話らしい。
破天荒な章構成と「子供にひどいことをした大人は、ギグラーという生き物によって犬のうんちを踏ませられる」というテーマが秀逸なのだが、読んでいる子供たちへのサービスの仕方がちょとくどい。はしゃぎすぎ。同じ英国の子供向けでも、ハリー・ポッターのはしゃがなさの方がボクは好きである。ま、対象年齢が少し違うのだろうけど。

2002年5月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:児童・ティーンズ , ファンタジー

LV3「墜ちていく僕たち」

森博嗣著/集英社/1575円

墜ちていく僕たち
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森博嗣は、これから少しずつジワジワと全部読んでいくかもしれないな、と思っている作家のひとりだ。これは新作だが、いつもの感じと少し趣が違う。ま、橋本治風文体から始まるからそう感じるだけなのかもしれないけど、ちょっと実験的な匂いのする短編集である。

ラーメンを食べたらいきなり性転換してしまう、という荒唐無稽な短編5つなのだが、それぞれの主人公の立場と文体が変わるので、わりと快調に読む進む。描写も主観表現もうまい。遊びな部分も気がきいている。で、ラストの短編で、、、うーむ。このラストの仕掛けがもっともっと面白ければかなりいい本に仕上がるのだが、肩すかしが中途半端で、どうにも乗り切れないままに終わってしまうのが残念。もっと知性的頭脳的にドンッと落としてほしかったな。

しかし……このラストにしたいがために、4編引きずったのだろうか。ま、小説すばるへの連載なので、全体俯瞰のオチではなさそうだが、そうでないにしてもそう見えてしまうあたりが難。悪ふざけを楽しんでもいいけど、1575円払って受ける悪ふざけとしては、もう気持ち凝ってほしかった感じ。

2001年10月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ミステリー , ファンタジー

LV5「華胥の幽夢 ~十二国記」

小野不由美著/講談社文庫/648円

華胥の幽夢(ゆめ)―十二国記
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「かしょのゆめ」と読む。現代日本が誇る名作、とそろそろ断言してもいいであろう十二国記シリーズの最新作にして、十二国記初(だったと思う)の短編集である。

十二国記ファンにとって、周辺エピソード満載の短編集はうれしすぎ、ワクワクして読んだ。ただ、シリーズが長大なのでもう忘れてしまっているところも多く、幾多の個性的登場人物たちのつながりがわからなくなっていたりして、楽しみも半減。全巻再読したいよ~。嗚呼どこかのんびりできる温泉でも行って十二国記全巻を再読したい、というのがボクのささやかな夢なのだ。

長編と短編では使う筋肉が違う、と言ったのは村上春樹だったか。十二国記の長編執筆の合間にこうした短編を書き上げるのは著者にとってなかなかたいへんな頭脳労働だったと思う。が、基本的に著者は長編作家なのだな、とこの本を読んで思う。短編なのだが、長編的構成のものが多く、展開の仕方も長編っぽい。特に表題の「華胥」などは長編的ストーリーで、助走やエピローグがない分、逆に冗長感やお説教くささが出てしまった。こういう展開の仕方は長編の方が向いている。

それにしても著者は泰麒が好きなのだなぁ。長編、外伝などを含めて、泰麒のエピソードがパズルをはめるように次々出来上がっていく。次の長編も泰麒編の続編のはずだから、この短編はその予告編にもなった感じだ。

2001年8月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー , 児童・ティーンズ

LV5「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」

J・K・ローリング著/松岡佑子訳/静山社/1900円

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (3)
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シリーズ3作目。
2001年5月現在で全世界1億部突破というからものすごい(印税を考えると卒倒しそうである。定価の10%としても…ひぇ~)。テレビやゲームから子供たちを取り返した、という世評そのままに、本のチカラを再認識させてくれる名シリーズとなった。全8巻。まだまだ継続していくハリー・ポッターの物語をリアルタイムで読める我々は後生うらやましがられるかもしれない(シャーロック・ホームズものをリアルタイムで読んだロンドン市民みたいにね)。

危機、試練、興奮、友情、そして意外な結末、を毎巻きっちり用意し、展開し、きちんと収束させる著者の力量はたいしたもので、この成功はもうフロックとは言えまい。今回はシリーズ3巻の中で一番面白いと評判であるが、ボクもそう思う。後半、厳しく言えばちょっとだけ不満があるのだが、十分面白い。ストーリー展開が子供には難しすぎるかもしれないと思えるところも気に入っている。著者は子供を子供扱いしてはいないのだ。

さて、第4巻は、これまでの3倍の長さだと言う。我が娘は小一。第4巻発売までに、ハリー・ポッターの世界に導引させてみようっと。

2001年8月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー , 児童・ティーンズ

LV5「黄昏の岸 曉の天」

小野不由美著/講談社文庫/714円

黄昏の岸 暁の天―十二国記
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十二国記シリーズ5年ぶりの新刊である。
リアルタイムでこの名シリーズが継続していく幸せよ! 読み始めればそこはもう小野不由美ワールド。美しい漢字と想像力の羽ばたき、オーバーすぎない会話、キャラ設定の絶妙、すべてがバランス良く連関し合って、見事な世界を築いているのである。

とはいいつつ、この巻ではちょっと散漫な部分も見える。人民の苦しみや謀反者の心の動きや汕子らの変容など、書き込んだら物語により深みが出そうな部分がいろいろ抜けているのだ。でもまぁもしかしたらこれは次巻への伏線かもしれないな。どう考えてもこの巻の続編は出るだろうから。

いままでの既刊をすべて読みなおしてから読みたくなる気持ちを抑え読み始めたから(だって時間ないんだもの)、最初は泰麒や陽子のキャラを細かく思い出せなくて苦労した。なんとかはなったが、もう一度アタマからシリーズを再読したい気持ちは変わらない。

あぁ、いまからこのシリーズを初めて読み出す人が本当にうらやましい。
人生にまだ十二国記を初読する喜びが残されているなんて!(初めての人はこの巻からではなく、最初の「月の影 影の海」から続けて読んでね)

そういえば、この巻ではシリーズで始めて、「天」という神についての言及をしている。これがどんな展開を示すのか、今後も興味は尽きない。

2001年5月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー , 児童・ティーンズ

LV5「アルケミスト」

パウロ・コエーリョ著/山川紘矢+山川亜希子訳/角川文庫/520円

アルケミスト―夢を旅した少年
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「星の王子さま」と「かもめのジョナサン」と「リトル・トリー」を一緒にしてゆっくり煮込んで濾したような本。
途中から砂漠が舞台になるので特に「星の王子さま」チックだな。先月読んだ「ベロニカは死ぬことにした」が(イヤラシイながらも)わりと印象的だったので取り寄せて読んでみた。コエーリョでは一番売れた代表作らしいし。

簡単に言うと、ある羊飼いの少年がピラミッドに向けて夢を求めて旅をする、という物語。
その中で様々な人生の知恵を得ていくということ。ありがちではある。でも文章は清冽で目線も温かい(かつ、甘すぎない)。様々な警句が手を替え品を替え登場する。一見「珠玉の言葉」と表現したくなる言葉群だが、中にはウソクサイ言葉もある。批判精神を持たずに読むと(ジョナサンとかがそうなりがちだったように)ちょっと新興宗教的一途な気持ちになってしまうかもしれない。そのくらいは(中途半端でなく)よく出来た言葉の洪水だ。

ファンタジーとは「子どもが大人になる物語」だと思う。そういう意味ではまさしくこれはファンタジー。何かを学ぶ気なら学べるし、時間つぶしに読み飛ばすならそれもいい。薄いし、南の海に持って行くには最適かも。
ボク自身は、実はこの手の本にちょっと食傷気味ではある。こういうのばかり読んでいた時期が長かったからかな。ちなみにある雑誌の特集によると、著者は「世界で一番読まれている作家50人」のうちのひとりだそうだ。なるほどー。

2001年4月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外) , ファンタジー

LV5「ハリー・ポッターと秘密の部屋」

J・K・ローリング著/松岡佑子訳/静山社/1900円

ハリー・ポッターと秘密の部屋 (2)
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ハリー・ポッター・シリーズの第二巻。
面白い。世界観を思い出すために、前回の「賢者の石」を再読した上で一気になだれこんでみたが、二冊いっぺんに読んだせいもあるのだろう、その世界観構築の見事さと、事件やエピソードの巧みさに(前回の印象より)かなり感心させられた。大ヒット作の二作目というのは難しいだろうと思うが、非常に成功した例ではないだろうか。

前作も初読時より面白く感じた。つまり再読に耐えるシリーズということか。今作「秘密の部屋」に限ると、前作よりもずっと恐怖感の演出がうまく、想像力豊かな子供なら読むのをやめてしまうかもしれないレベルの怖さまで行っている。子供用に書くという手加減をしていないあたりの気骨さが、全編に渡って感じられ、それがこの物語をより深いものにしているのだろう。

それにしても・・・全世界で3600万部とは! 今年は映画化もされるらしい。謎解きがあって、困難や障害物があって、仲間がいて、魅力的な救助者がいて・・・と、ヒットすべき文法を忠実に守っているだけという感じもするのだが、それぞれが半端でなく完成されているだけに、これからの作品もまず期待を裏切らないであろう。第三巻「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」は今年夏に発売らしい。楽しみである。

2001年2月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー , 児童・ティーンズ

LV5「渋澤龍彦綺譚集1(全2巻)」

渋澤龍彦著/日本文芸社/3900円

渋澤龍彦綺譚集〈1〉
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先月香山滋の幻想小説集を読んで、無性に渋澤龍彦が読みたくなった。
この希有な物語作家の全集(全2巻)は前から買ってあったもので、いままでも拾い読みはしていたが、じっくり腰を落ち着けて読んだのは初めて。今月はまずその第1巻。いや、実はここに収められた26編の8割くらいしか読めなかった。こうして書いている今もまだ読書継続中である。だって、著者の文章は流し読みが出来ないんだもの。ゆっくり物語世界に沈み込む快感こそ、彼に求めたいものだからである。

渋澤龍彦の作風をひと言で表現するなら「妖しい目眩」とでも言えようか。
この頃ではもう知らない人の方が多くなりつつある作家だが、読み返してみてそのオリジナリティと尋常でない妖しさに慄然とすることしばし。緻密かつアバウトな構成力と行間の深い表現力。細部に川端康成の文学的おどろおどろと三島由紀夫の絢爛が、ちょっとずつ宿っている。なんちゅうか、気持ちよく彼が作り出した闇に落ちていけるあの加速度感が得難いのです。初期の作品はちょっとイマイチなのも多いけど、全体の物語よりもなんというか漢字ひとつから匂ってくるようなイメージを楽しみたかったので満足。文字色、書体、装丁、挿し絵もそれぞれとてもよい。しかしこの著者、導入がうまいなぁ。このまま第2巻に突入予定。

2000年11月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本) , ファンタジー , ホラー

LV5「海から来た妖精」

香山滋著/中島河太郎編/牧神社/1800円

海から来た妖精古本屋で購入した一冊。1975年5月に発売されている。当時で1800円。カラー刷りでもない150頁の本としてはめちゃ高い。副題は「香山滋代表短編集 上」。下巻は古本屋に売ってなかった。探さなければ。

著者はゴジラを創造した人物として名高いファンタジー小説家。
いやファンタジーというより幻想文学といったほうがしっくりくるな。75年に亡くなった大人の童話作家なのである。一読、実に良い。いまと当時では時間の流れ方が違うので物語のスピードがたるい部分もあるが、その分ゆっくり幻想世界に沈んでいける。この「物語にゆっくり沈んでいく皮膚感覚」を物語が失って久しい気がする。フィクションは多いが「ものがたり」が少なくなったんだな、とこの本を読んで実感した。
どの短編も良い。個人的には「ネンゴ・ネンゴ」が気に入った。目の前に暗い海辺の暗い家が浮かび上がる。その家の饐えた匂いが鼻腔にむせかえる。闇。闇があったころの日本の素晴らしさがここにあるのである。なんだか澁澤龍彦を再読したくなったぞ。

※amazonでは登録すらありませんでした。

2000年10月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー

LV1「ゴルゴン」

タニス・リー著/木村由利子・佐田千織訳/ハヤカワ文庫/640円

ゴルゴン―幻獣夜話
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副題は「幻獣夜話」。ファンタジーもの(一部モダンホラー)の短編集で、1983年の世界幻想文学大賞(短編部門)も取っている。著者はこの世界の一人者。

と、まぁ読む前はわりと期待したのだが、この本に限って言えば、少年少女用の域を出ていない印象。文章がわりと稚拙。同じ題材でももっともっと幻想的に出来ないだろうか。読者の想像力をもっともっと刺激することが出来ないだろうか。あー、小野不由美のレベルの高さをまざまざと見せつけられるなぁ。

1983年と言えばまだ8ビットのファミコンが出た頃、という感じか? その頃ならまだ許せるが、今現在ではもうこのレベルじゃ子供は楽しまないだろう。
幻想文学はRPGに勝てるのか。この本レベルだとボロ負け。小野不由美の十二国記シリーズまで行くと、漢字の美しさや想像力の喚起でなんとか文学の勝ち、かな。要は想像力の喚起なんだな、きっと。FF8なんて想像力が入り込めないリアルさがあって、結局つまらなかったもんな。

2000年7月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー , ホラー

LV4「死者の書」

ジョナサン・キャロル著/浅羽莢子訳/創元推理文庫/600円

死者の書
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ミステリーなのかな。いや、ホラーか。うーんそれともファンタジー小説か。まぁどれでもいい。鬼才と言われる作家のデビュー作で、アメリカではベストセラーだったらしい。

面白い。発想といい展開といい不思議な文体といい行間の深さといい、非常に楽しめる。だけどだけど、結局最後は拍子抜けだったのである。むーん。前半から終盤まではホントにいいの。でもね、終盤からラストにかけてがどうにも居心地が悪いのだ。息切れしたのかなぁ。それとも終盤までの怒濤の展開を支えきれなくなったのか。処女作だけにいろいろ考えられるけど、まぁ広げすぎ、なのかな。収まりがつけにくい展開ではあるし。

作家は想像力だけで世界を構築できる、ある意味で「神」なのだけど、そういう意味ではこの本はまさに「想像力そのもの」。
ちょっと映画「マトリックス」的部分や、ゲーム「ウルティマ・オンライン」的な部分もあって、面白い。読後はわりと拍子抜けだけど、時間が経つに従って印象が深まるタイプの本である。

2000年7月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外) , ファンタジー , ホラー

LV5「ハリー・ポッターと賢者の石」

J・K・ローリング著/松岡佑子訳/静山社/1900円

ハリー・ポッターと賢者の石 (1)
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全世界で800万部売れていて、来年夏にはワーナーが映画化すると言われている話題のファンタジー。
全7巻完結らしく、これから順々に読んでいけるわけですね。まぁ面白かったからそれはそれで楽しみだ。ちなみに初邦訳。日本では無名小出版社が世界的超ベストセラー本の翻訳を勝ち取ったことでも話題になった。

ひと言で言えば、ロンドンの子供魔法使いの話。魔法学校に通って魔法を覚えていくうちにまき起こる事件の数々…。こう書くとちょっと「ゲド戦記」を思い出す。硬派な「ゲド戦記」をリンドグレーン風に料理して、ディズニーのスパイスを散りばめた、みたいな印象をボクは受けた。

ストーリーはよく出来ている。夢中で読める。一巻完結ならちょっと「ぬるいな」と思う構成も、七巻続くならもちろん許せる。いまひとつカタルシスを感じられない主人公もだんだんに成長していくのだろう。子供の活字離れを嘆く前に、そう、こういう風にテレビゲームに勝てるような本を大人は書くべきなのだ(活字離れを嘆くなら、ね)。

まぁ童話的なものなので比べようもないが、日本にも小野不由美の「十二国記シリーズ」という「世界的ベストセラーになったっていいじゃん的大名作ファンタジー」があるんだがなぁ…と読後に思った。ハリー・ポッターに全然勝っているぞ、十二国記!

2000年2月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー , 児童・ティーンズ

LV4「魔性の子」

小野不由美著/新潮文庫/552円

魔性の子
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「十二国記」の外伝が新潮文庫から出ていたとは知らなかった。メールで教えてくれなかったら読まなかっただろうなぁ。

内容は…「十二国記」だから面白くないわけがない。文句なし。というか「十二国記」ファンには感涙もの。
ただ、これ「十二国記」を読んでない人が単独で読んでわかるのだろうか。充分面白いとは思ってくれるだろうけど内容的にイマイチ納得がいかないままに終わるのではないだろうか。新潮文庫のための書き下ろしらしいが、なんだかそこがとても気になった。
よい子のみんなは「十二国記」を全部読んでから読みましょうね。ゾクゾクが違います。

1998年8月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー

LV5「月の影 影の海」「風の海 迷宮の岸」「東の海神 西の滄海」「風の万里 黎明の空」「図南の翼」

小野不由美著/講談社X文庫/順に、上下各500円、上下各420円、580円、上下各620円、680円

月の影 影の海〈上〉 十二国記 講談社X文庫―ホワイトハート
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「十二国記シリーズ」を一気に読んだ。

小野不由美の評判はずいぶん前から聞いていたんだけど、読んでその魅力がよくわかった。
まぁ一言で言えば東洋風ファンタジーなんだけど、さとうさとるの「コロボックル・シリーズ」に匹敵する出来。「ナルニア国物語」と「ゲド戦記」と「ネバーエンディングストーリー」と「時をかける少女」を足して4で割って東洋風にしたような作りで、設定も筋もキャラクター造形もどれをとっても秀逸。

そのうえ、若年層向け文庫シリーズだけに若者に対するメッセージも平易に気持ちよく織り込まれていて、それがまた通り一遍ではない。著者は平易な語り口で深い教訓をしっかり与えている。ある意味で作家の鑑なのである。うん、ベタボメ。難を言えば題名がみな似たり寄ったりで読む気が起こらないこと。これは本当に残念だ。これから読む人は一巻目の「月の影 影の海」からどうぞ。

物語と関係のないことを言えば、今まで本を読んできてこんなに「漢字」を美しいと思ったことはなかった。
本当に「漢字って美しい。すばらしい」と読んでいて思わせる。それを実感するだけでもこのシリーズは読む価値がある。

それと個人的には、あとがきで「ゾラック」が出てきたのがなんだかうれしかった。それについてはこちら

1998年3月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー , 児童・ティーンズ

LV1「ターン」

北村薫著/新潮社/1700円

ターン―Turn
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「時と人」三部作その2。
前作「スキップ」にあったみずみずしいリアリティがなくなってしまって、なんだかちょっと少女小説のようになってしまったのが残念。赤川次郎を読んでいるような甘ったるさを感じた。そういった本を否定するわけではないが、どうもボクは食い足りなかった。

まったく同じような設定に大名作「リプライ」(ケン・グリムウッド著)があって、この名作と比べるのもアレなのだけど、うーん、もう少しなんとかならなかったのだろうか。ちょっと優しさや繊細さが前面に出すぎてしまって居心地悪い部分があった。もしかしたら若い女性にはこのくらいがちょうどいいかもしれない。ジュブナイル系とかにも。

1998年2月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:ファンタジー

LV3「スキップ」

北村薫著/新潮社/1900円

スキップ
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17歳の女子高生が25年の時を超えて42歳の自分にタイムスリップするお話。

25年後、学校教師をしている自分に17歳の自我が入ってしまう設定は非常に新鮮で、その時の主人公の心の動きは非常によく書けていると思う。人生とは時間そのものなんだな、と改めて思わされるし、では時間とはいったい何なのだと胸元に突きつけられる。

だが、17歳の精神にしては主人公はあまりにしっかりしすぎているのがボクは気になった。カタルシスを感じる寸前でしらけてしまうのはそこらへんが原因だったと思う。惜しいなぁ。ケン・グリムウッドの名作「リプレイ」と題材が似ているが、主人公の内面の揺らぎをもう少し上手に膨らませれば、あれに勝てるほどのものも出来たと思う。なんだか惜しい本だ。

1997年12月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本) , ファンタジー

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