映画・映像(25)
「ビデオで世界を変えよう」

amazonポップアートに憧れて渡米したひとりの日本人女性(著者)が、当時ソニーから出たばっかりだったビデオに偶然出会い、ビデオ・ドキュメンタリーを世界でほぼ初めて手がけ、キューバやベトナムへもビデオかついでアメリカ初取材を単独敢行し、テレビ報道の世界にも多大な影響を与え、夫のジョン・アルバートとともに今日のビデオ・ジャーナリズムを創始し繁栄させたってことを知ってた人〜?と、誰彼なく聞いてみたくなる。
そうか、ビデオジャーナリズムって日本人が始めたんだ〜!と誇らしくなること間違いなしの、彼らの半生の活動記録が本書。つか、へぇ〜の連続。知らなかったなぁ。
誇らしい部分はいろいろあるが、彼らが自分たちだけで開発し取得したビデオ技術や機材を独占せず無料で多くのアメリカの若者たちにワークショップで教えることを長年続けてきたことや、キューバやベトナムといういわゆるアメリカの敵たちの素顔をビデオならではの視点で描き平和に貢献しつづけたことなどは特に感動的。というか、「世界を変えよう」という意志が感動を呼ぶ。ビデオに限らず、どんな手段でも可能なはずだ。そのさりげない意志に感嘆する。
半生記っぽい本なので、エンターテイメント性は特になく淡々としているのだが、これからの人生を考えるに当たってとても刺激になるいい本だった。少なくともボク個人にとって。
2003年7月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL
「テレビの黄金時代」

amazonテレビの黄金時代を主観・客観双方からきっちり眺められるのはこの人しかいないかもしれない、と思わせる著者が書いたテレビ青春記。
テレビ番組作りに濃く参加しつつ雑誌を運営し、常にテレビ界とは距離を置いていた著者だからこそ書けるテレビメディア史でもある。そしてもちろん、お笑い芸人やバラエティを見る著者の目も当代一流。そんな人が書いたテレビの本だもの、おもしろくないわけがない。
ある意味、テレビ番組発達史として貴重な文献でもあるが、ここは素直にアマチュアの集まりだったテレビ創成時代〜黄金時代を読み物として楽しみたい。特に九ちゃんを作っていく過程やバラエティに命をかけた男たちの物語が面白い。番組をどうやって作ってきたか、人間模様はどうだったのか、顧みて今のバラエティはどうなのか、など、興味は尽きない。ボクよりちょっと上の世代(リアルタイムでテレビ創成時代を見ている世代)には特にたまらない記述が続くだろう。
贅沢言うなら、写真をもう少し入れて欲しかったかな。シズル感が全然違っただろう。1857円という定価だもの、写真くらい欲しい感じ。
2003年1月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL
「何もそこまで」

amazon友達には絶対なりたくないけど敬愛していた作家、ナンシー関。
ボクが週刊文春を毎週読んでいた頃と、彼女がいきいき連載していたころが重なるので、ある時期のボクの人生にとって欠かせないパーツであった。彼女が今年の6/12に亡くなると同時に、日本の芸能界&テレビ批評は終わりを告げたと言ってもいい。時代の空気をお茶の間から掬い取り、ある毒としてテレビや芸能人にぶつけていた彼女だが、単なるテレビ批評に終わらず、それが時代評論としても普遍性を持っていた点が偉大だったと思う。あの時代の空気のつかみ方、表現の仕方は舌を巻くしかない。タレントの肝をひと言で表現するように、時代すらも彼女は乱暴に言ってのけていた。
この本はその週刊文春での連載をまとめたもの。
おなじみの筆致、おなじみのテイストでつづられる。消しゴム版画作家としてのすばらしさもあるが、こうして過去の著作を読んでいるとまぁ惜しい人を亡くしたものだと嘆息する。もっともっと読みたかったなぁ。他にもたくさん本は出ているのだが、なんだか読む気にならないくらい著者を惜しんでいる。
2002年10月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL
「若山弦蔵のバックグラウンドミュージック」

amazonパーソナリティ:若山弦蔵、スクリプト:かぜ耕士、選曲:大江田信。副題「365日にんげん歳時記」。
この本はTBSラジオの長寿番組「若山弦蔵のバックグラウンドミュージック」の放送で使われた「今日はこんな日」的歳時記ネタを、1日1ページとして365日分集めたもの。放送を知っている人はもちろん、放送を聴いたことない人も楽しめる雑学の集大成となっている。
たとえば4月1日のページを見てみると、「ザ・ピーナッツ」が生まれた日として、彼女らの履歴やカバー曲、映画「モスラ」における小美人役などについても詳しく触れられていて、その舞台がインファント島であるなどという細かいこともきっちり調べられて書かれている。細部に神が宿ることをしっかり知っているプロフェッショナルなスクリプトライターの存在が大きい。しかもこれは本文で、その下にある脚注にはもっと詳しい情報や、4/1に生まれた有名人書かれていたりする。選曲から参考文献まで、心配りが異常な本。超労作だ。
こう書くと辞典的に思われるかもだが、そうでは決してない。読んで面白い本になっている。一日ひとつ、ゆっくり楽しめる本なので1900円はお得に感じる。読んでいると人生のいろんな話題がキレイにつながって感じられてくる。単なる辞典ではない証拠であろう。実は出版に当たって出版社を紹介するという協力をしたので書評しにくいのだが、雑学やネタ本が好きな方にも、小さな読み物が好きな方にもオススメ。
2002年4月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL
「世界は『使われなかった人生』であふれてる」

amazonいい題名である。で、題名からはわかりにくいが、実は映画評コラムを集めた本である。
「暮しの手帖」という渋くも良質な雑誌に連載中のものから30編選んだものだ。著者も書いているが、これは映画評というよりは映画に触発された著者のエッセイという感じで、映画の筋は追ってくれるが、映画に密着して話しが進むわけでもない。それがボクにはちょうどいい距離感であった。
本編に入る前の短文がいい。映画を想うとき語るとき、我々は「ありえたかもしれない人生」というスタンスをとることがよくある。ありえたかもしれない人生をそこに見るのだ。でもこの本は「使われなかった人生」というスタンスをとることでもう一歩踏み込んでいる。「『ありえたかもしれない人生』には、もう手の届かない、だから夢を見るしかない遠さがあるが、『使われなかった人生』には、具体的な可能性があったと思われる近さがある」と。で、「使われなかった人生」がいかに我々の間に溢れているかを語っているのだ(ここらへんは本文を読まないとちょっと伝わりにくいかも)。
ただ、使われなかった人生、というスタンスが30編もの映画評にきっちり活きているかと言われるとそうでもない。そのスタンスを活かした狙いのエッセイ、というわけではないのだ。題名やはじめの短文がいいだけに、そこにちょっと不満が残るのは確か。
2002年2月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL
「クリント・イーストウッド」

amazon副題は「アメリカ映画史を再生する男」。
親しくさせていただいている芦屋のワイン店「リブ・ゴーシュ」の細谷店長がメールをくれて「私は以前よりイーストウッドを全米No.1(もちろん現役の中で)映画監督と考えていましたが、この本を読んでその思いをより強くしました」と薦めてくれた本。
うーむ。実はイーストウッドをちゃんと追っかけていないヘボ映画ファンなボクなのだが、この本を読んでとにかくイーストウッド作品が観たくなった。つうか、この本を読んでイーストウッドの出演作品・監督作品をすべて見返したくならない人がいるだろうか。実に良くできたイーストウッド評論であると同時に、ハリウッド映画の総括にもなっている名著。
なるほど、読めば読むほどハリウッド映画の「由緒正しき後継者」としてイーストウッドを認めたくなる。逆に、それほどのもんだったっけ?という想いもあるのだが、最近の作品は確かに名演出だし、ドン・シーゲルの流れを汲むB級具合もバランスいい。映画の魅力とはそのB級度合いだと(いい意味で、ね)、肌でわかっている数少ない人なのだろう。
2001年9月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL
「それはまた別の話」

amazon映画ファンの中では、和田誠の対談相手といえば山田宏一と決まっていた。ベストカップル。それが今度は三谷幸喜だと言う。ま、彼も大好きだし、いい企画なので素直に喜ぶが、ボクは山田氏とのカップリングの方がやっぱり好きだな。三谷幸喜もいい味出しているけど、対等には渡り合えてなくて、わざと自分の小さなこだわりにツッコムことでなんとか自尊心を満たしている感じ。それを和田誠は微笑んで見ている感じ。
いや、三谷氏も健闘している。でももうひとつ話が膨らまないのが弱い。世代が少し違うからかな。それともこの手の「和田誠対談企画」にボクがちょっと飽きてきているのか。まぁ映画をビデオで詳細に見直せるようになってからは、和田誠の驚異の記憶力も神通力失ってきたしなぁ。
ちなみに題名はボクの口癖でもある。「あなただけ今晩は」や「ネバーエンディングストーリー」で効果的に使われていたセリフ、だよね。
2001年3月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL
「芸能界一発屋外伝」

amazon労作。前作「歌謡界一発屋伝説」よりもずっと面白い。
前作は歌謡界の一発屋について書いているが、たぶん歌謡界の方が得意分野だったのだろう、ちょっと読者レベルに合わせて手加減したような所があった気がする。今回の芸能界全般編は、逆に目一杯がんばっている感じ。これでもかこれでもかと雑学的オタク的知識をぶちこんであり非常に読み応えがあった。お笑い、ドラマ、CF、お色気、文化人、異能者…、いろんな分野での一発屋たち。一発屋に対する愛も充分に感じられてとてもいい。(中谷彰宏を「著者が唯一、本当の一発屋になってほしいと願う男」と位置づけているあたりも共感)
ただこの感想は単にボクが「芸能界全般より歌謡界の方が圧倒的に詳しい」ということも影響しているかも知れない。
前作についてボクは「題材によっては突っ込み不足」などと偉そうに書いているが、芸能界編も詳しい人に言わせるとコッチも「突っ込み不足」な部分があるのかもしれない。それはわからない。ボクにとってはコッチの方が熱を感じたし感心させられるところが多かった、ということ。
2000年2月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL
「のり平のパーッといきましょう」

amazon今年の1月25日に亡くなった喜劇役者三木のり平の「聞き書き一代記」。のり平の言葉がしゃべり言葉でそのまま書かれているのがユニークかつ素晴らしい。そのしゃべり言葉のリズムを読むだけでも儲けモノの一冊だ。
三木のり平に特に思い入れのない人々(ボクを含めて)が読んでもピンと来なかったり面白くなかったりする部分は確かに多いが、その豊富なエピソードから浮かび上がる昭和という時代がとにかく面白いのだ。書かれているギャグとかはイマイチずれちゃっているんだけど、そんなこと読んでいる間はまるで気にならない。
後半の手紙の引用や途中で出てくる芸事に対する一家言、喜劇やネタに対する考え方など、彼でなければ語れない言葉も多く、なるほどこういう人を失ったのだな、と改めて残念な気持ちになる。ひと言で言えば非常に「粋」な本だ。
1999年12月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL
「コンパクトカメラ撮影事典」

amazonカメラという趣味を始めようと思ったわけではないのだが、ちょっとした「人生メモ」的にミノルタの「TC-1」という、レンズが良くて非常に小さなコンパクトカメラを持ち歩くようになった。モノクロ・フィルムを入れて28・の広角で日常を写す。そこには芸術を撮ってやろうとかいうような気概はまるでなく、ただ毎日を楽しむ手段・道具の一つ、という意識しかないのだけれど、なんとなく日常風景への視点が自分の中で変換していることに気がついたりする。わりと面白い。
この「TC-1」、露出制御は絞り優先AEなので「カメラ無知」のボクは何冊か本を買って研究したのだが、その中ではこの本が一番面白かった。いや、撮影のABCを教えてくれるという意味では他にもいい本はあった。この本がいいのは、撮影事典などというタイトルのくせにほとんど「エッセイ」なのだ。著者による「コンパクトカメラな日常」のエッセイ。そしてコンパクトカメラとは何か、ということをこの本ほど看破している本はなかった。スペック的な意味ではなく、精神的・人生的な意味でね。そういう意味でひたすら共感した事典であった。以上。
1999年11月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL
「コマネチ!~ビートたけし全記録」

amazonしばらく前に出た「新潮45別冊」の文庫化。
松本人志、今村昌平、古田敦也との対談や、映画「HANA-BI」が出来上がるまでのドキュメント(監督手法が面白い)や、吉川潮や中野翠という手練れが書くたけし論や、軍団によるたけし評とか、フォトアルバムや賞罰一覧、年譜など、目一杯「たけし」が浮かび上がる「雑誌」となっている。
対談もたけし論もおもしろいが、やっぱり要所要所で出てくるたけし語録が一番おもしろいし刺激的だ。こうして読んでいるとたけしって「過剰の人」ではなくて「省略の人」なんだな、と再認識。うーむ。
「おいらの好きな小説」という項で1位が「次郎物語」だったのを見てなんだか北野武がよくわかった気がした。実はボクも「次郎物語」が一番かも。ちなみにたけしの2位は「青春の蹉跌」。3位は「罪と罰」。洋画の1位は「フェリーニの道化師」(わかるー!)。洋楽の1位はビートルズの「ドン・レッミー・ダウン」(これまたわかる!)
1999年7月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL
「ミア・ファロー自伝 去りゆくものたち」

amazonボクはミア・ファローが好きである。
知らない人もいるのかな? 実に素晴らしい映画女優だ。どちらかといえば地味系。真面目系。で自伝を読む限りにおいて本当に地味で真面目で真摯である。でも。でもでも。結婚相手が派手なのだ。一人目がフランク・シナトラ、それからアンドレ・プレヴィン、そしてウッディ・アレン。あ、ウッディ・アレンとは長年に渡る同棲だけど。
で、シナトラやプレヴィンとのエピソードも興味深いが、なんといってもアレンによる性犯罪の赤裸々な記録が書かれているのがショッキングである。文章が静かで達意なのであまりワイドショー的にはなっていないが、十分扇情的。あら、結局告発の書だったの? と、そんなことをまるで期待していなかったボクはちょっと鼻白んだんだけど、個人的にはビートルズとのインドでの共同生活やアレンの監督手法が読めたのが特に面白かった。
ちなみに訳者は椎名誠と渡辺一枝の娘。労訳です。
1999年5月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL
「Me キャサリン・ヘプバーン自伝」

amazon名実共にハリウッドの女王、大女優キャサリン・ヘップバーンが書いたある女の一生。
努力家なのだな、上巻から下巻に移るあたりからきっちり自伝のコツを掴みだして、非常に文章がうまくなってくる。下巻なんか自伝の文章としては出色なる出来だと思う。
ただ、自分の人生を辿る、という意味よりはよりエッセイに近くなってきていて、この大女優の人生を正確に辿りたい人には不満が残るかもしれない。記録という意味ではね。まぁそれは彼女の死後にでも伝記作家が書くだろうからそれまで待ちましょう。
これだけの大女優なのに、日本ではいまいち人気がなかったんだよなぁ。公開作もすぐに消え、ビデオもそんなに手に入らない。でも、若干の演出やウソはあるにしても、いい人生を送ったよ、キャサリン・ヘプバーン。あの頃の映画のエピソードはもちろん山ほど出てくるので、映画好きな人は読んで損しないと思う。久しぶりに「旅情」とか「アフリカの女王」とか観たくなった。
1999年3月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL
「脳内イメージと映像」

amazon映像とは何か。
これはボクのテーマのひとつでもあるのだが、この本は、脳内で表出される映像「脳内イメージ」を手がかりに、「映像とは脳を拡大するために脳の延長として存在する」という結論まで個人の体験(臨死体験)をもとに平易に書き進めていく。
自分の五感の外のものとして映像を捉えていたボクにとってかなり新鮮な論であったが、もっともエキサイティングだったのは、(著者も危惧しているが)「映像が脳を越えるときが来るかもしれない」という新しい視点を与えられたこと。いろんな妄想が沸き上がってくる。読書の醍醐味だ。
著者は元NHKのディレクター。科学的に小難しく書こうと思えばどうにでもなってしまう題材をここまで平易に書いたことは大変素晴らしく思う。
1998年12月 1日(火) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:映画・映像
「オードリー・ヘップバーン」

amazon副題に「永遠の妖精。その真実の人生を知る伝記決定版!」とある。
ヘップバーン・ファンなら誰しも知りたがる彼女のプライベートが書いてあり、各出演映画でのエピソードも満載。それなりに労作であろうが、残念ながら上下巻を通して読んでも彼女の生身の姿は浮かび上がってこなかった。
エピソードを充実させようとするあまりか、出てくる名前が膨大な数に上り、読んでいる方としてはかなり混乱がある。
ファーストネームとラストネームが混在していたりするのもつらいところだ。また、これは「オフィシャルな(遺族が認める)伝記ではない」らしいが、それならもう少し自由に突っ込めるのではないか、と思われる箇所が多々ある。なんかちょっと中途半端な印象だ。
ボクは周辺情報をかなり掴んでいる方なのでわりと楽しめたが、そうでない人にはちょっとつらいかもしれない。
1998年7月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL
「『Shall we ダンス?』アメリカを行く」

amazon映画『Shall we ダンス?』が全米で公開になり、そのキャンペーンで18都市を訪れた周防監督の日記である。
基本的にはどういうインタビューを誰からどう受けこう答えた、という記録なのだが、大部なのに読者を飽きさせずさらっと読ませる。文章が平易。彼の映画そのもので「まずわかりやすいこと」を主眼に置いているからだろう。そして楽しく興味ある展開が次々あらわれる。
アメリカ公開に向けてどこを無理やりカットさせられたか、など、エージェンシーとの闘いは映画好きには必読だし、インタビューやキャンペーンがどのように繰り広げられるかに興味ある人も必読だ。
だがこの本の真骨頂は結果的に浮かび上がるアメリカ文化と日本文化の姿だろう。特にインタビューの質問を通してアメリカ人が思っている日本が浮かび上がってくるのが面白い。それを周防監督と一緒に受け止め、では日本とは一体なんなのだとこちらも考え始めていく。そこの過程がボクには新鮮で楽しめたのだ。
1998年3月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL
「伊丹由宇のビデオでROCK」

amazon著者には「こだわりの店不親切ガイド」という食べ物系の著書があって、そちらはわりと文体も切り口も好きだったのでこれも買って読んだ。
音楽ビデオのレビューなのだが、例えば村上春樹にあるような独自の目線による解析が少ないし、妙に読者に媚びたようなミーハー文体も混ぜていたりしてなんだか読んでいて落ち着かなかった。ビデオをもとに時代を切るということ自体はユニークなのだからもっとしっかり書き込んで欲しかったと残念に思った。
1998年2月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL
「マイ・ラッキー・スターズ」

amazon副題が「わがハリウッド人生の共演者たち」。
映画好きにはたまらない本だ。シャーリー・マクレーンが自らの映画人生について、そして数々の共演者たちについて赤裸々に語り尽くしている。ディーン・マーチンに恋したりロバート・ミッチャムと愛の日々を送ったりした日々のいわゆるゴシップ系のネタも面白いが、映画撮影現場でのもろもろの心の動きなどもまたたまらない臨場感で実によく書けている。彼女特有の「霊魂ネタ」はラストに少し出てくるだけなので、その系統にアレルギーのある人でも大丈夫。
彼女はボクのフェバリット女優。そして彼女の全盛期ごろのハリウッド映画も大好き。そのうえ彼女の「アウト・オン・ザ・リム」以来の霊魂系著作もすべて読んでいる僕としては、実に楽しめる本だった。
1998年1月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL
「天才になる!」

amazon天才アラーキーの初の自伝だそうだ。インタビューでまとめたアラーキーの半生である。
ボクが初めてアラーキーの写真集を買ったのは6年前の「センチメンタルな旅・冬の旅」である。
以来ちょこちょこ買い続けているくらいはファンなのだが、実はその半生など知りたいと思っていなかった。写真で十分だったのである。
しかし読んで良かったな、これは。彼がなぜ極私的生活を写真で追いまくっているのか、ちゃんと秘密が書いてある。要は「時代の奴隷にはならない」ということだったんだな(こんなこといわれても読んでいない人にはなにがなんだかわからないでしょうね。すいません)。ふーん、とかなり共感することの多かった一冊である。
この本に刺激されて、佐藤家では何度目かのアラーキー・ブームである。全集にいま取り組んでいる。これも、面白い。
1997年11月 1日(土) 12:00:00・リンク用URL
「ええ音やないか」

amazon副題が「橋本文雄・録音技師一代」。帯に「“耳”で映画を観る」とある。
戦後すぐの大映(溝口健二!)から日活黄金期、角川映画、最近の森田芳光、阪本順司監督作品に至るまでの長きにわたり録音技師として第一線で働き続けている橋本氏のインタビュー集である。
橋本文雄の一代記であるのみならず、貴重な戦後日本映画史の資料であり、技術録・録音ノウハウ集であり、撮影現場のエピソード集でもある。分厚い。645ページ。が、それだけのことはある。
読了するのに3ヵ月かかってしまったが、その濃い内容に圧倒された。
はっきり言って映画の見方が変わる。そして邦画をいろいろ見たくなる。川島雄三、斎藤耕一、中平康、澤井信一郎…それらでの橋本文雄の仕事を目の当たりにしてみたくなる。ハリウッドのカラフルな録音に比べてどうしてもモノクロチックな邦画の録音がいままで嫌いだったが、それが偏見なのではないかと根本から考え直される思いである。
よくぞ現役バリバリのうちにインタビューしてくれたと感謝したくなるような本だ。
敢えて言えば巻末に索引を作って欲しかった。なにしろ資料としても第一級であるのだから。
1997年6月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL
「ウォルト・ディズニー」

amazon娘を持って以来、急に観る機会がふえたディズニー映画。
ところでいったいどういう人なのだろう、有名だけど本人について何も知らんな、と気になっていたらやっと伝記を見つけた(95年12月初版)。
期待せず読み始めたらこれが面白いの何の。
著者はたんたんと書いているのだが要を得て無駄がない。伝記としてはピカイチの出来だろう。素晴らしい。各映画のエピソードやディズニーランドのエピソードなどファンにはたまらない本ではあろうが、ボクみたいにファンではない人間(どちらかというと嫌い)でも最高に楽しめる一人の精力的な男の人生。まさに今世紀を代表するクリエーターの人生を、あなたも読みたくない?
1997年6月 1日(日) 12:00:00・リンク用URL
「亜星流」

amazon副題「ちんどん商売ハンセイ記」。
ここでいう「ちんどん商売」とはCM商売のことで、彼が関わったCMソングの仕事を中心に明るすぎるほど明るく軽く、半生を振り返っている。
著者のポジティブな生き方そのものが面白いのだが、この本は少々表層的になりすぎていて正直食い足りない印象。軽く書き飛ばさないで、じっくり腰を据えて書いてほしかったなぁと思う。CM界の貴重な記録になっただろうに。
1997年1月 1日(水) 12:00:00・リンク用URL
「TVアニメ青春記」

amazonTVアニメ創世期から現代に至るまでを、アニメのライターとして知らない人はいない作者が書いた自伝兼年代記。
特に創世期の熱い雰囲気に触れたいかたは読んで損なし。
「ジャングル大帝」の脚本や「アタックNO.1」のシノプシスなども収録されており、好きな人にはたまらない本。ストーリーが行ったり来たりして冗漫になったのとアニメへの情熱が空回りして読みにくかったのが残念。希望をいえば、アニメにあんまり詳しくない人が読んでも面白い本に仕上げてほしかった。そういう本が日本には少なすぎる。
中学の頃からずっとペンネームだと思っていたけど「辻真先」って本名なんだって。知らなかったなぁ~。
1996年8月 1日(木) 12:00:00・リンク用URL
「ビリー・ワイルダー自作自伝」

amazonボクのフェイバリットな映画監督ビリー・ワイルダーの伝記。
「ビリー・ワイルダー・イン・ハリウッド」(モーリス・ゾロトウ著)という伝記が出ているが、それの数倍は面白い。なぜならワイルダーの言葉を著者が紡ぎあわせて構成しているからだ。
ワイルダーは言わずと知れた語りの名手。その言葉の集積だもの面白くないはずがない。でも、これは訳者および出版社の怠慢だと思うのだが、訳注がなさすぎる。日本人の我々には前後関係がわかりにくい事件がたくさん出てくるのだがそれらにひとつも訳注がない。物語の流れも興味もその度に止まってしまう。これは本当に惜しい。というか残念。せっかくいい本なのに。
1996年4月 1日(月) 12:00:00・リンク用URL
「シャボン玉ホリデー」

amazon副題「スターダストを、もう一度」。
テレビと日本がまだ青春していた頃の、貴重でバカ面白い記録である。テレビ創生期の名番組「シャボン玉ホリデー」。クレージーキャッツ、ザ・ピーナッツなどを中心とした、歌と踊りとギャグとコントを織り交ぜた、真のバラエティだったその番組の概要をわかりやすくまとめてある。写真も多いので資料としても一級。これを読むとテレビと日本は今や本当に年をとってしまったなぁ、と実感する。それもいい年のとり方じゃない。どちらかというと退歩しているなぁと実感させられる感じ。
昭和の証言であり、今のテレビへの警鐘であり、日本人への励ましであり、そして何より極上の青春記でもある。オススメ。ちなみに著者は「ごぶいちいさむ」と読む。
1996年3月 1日(金) 12:00:00・リンク用URL
@satonao310